学習院初等科

 教育目標  
真実を見分け、自分の考えを持つ子ども

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歴史あるゆき届いた環境で
心がゆさぶられる体験を積み重ねて
自らの考えや価値観をつくりだす

梅本恵美初等科長

基礎基本を学び質の高い体験をする

 迎賓館赤坂離宮の向かいにある学習院初等科の始業前の校庭に、おにごっこや縄跳びなどをして遊ぶ子どもたちの元気な声が響く。朝礼のラジオ体操では、上級生の隣に並ぶ1年生が手足をしっかりと伸ばして励んでいる。

 初等科では、自然観察や芸術鑑賞、家元に習う茶道や礼法など、いろいろな場面で本物の体験、質の高い体験学習を用意している。

 昨年、子どもたちの目が輝いたのが、1年生のさくらの学習として実施した「動物ふれあい体験教室」だ。学習院大学の馬術部と初等科の卒業生の協力により実現した企画で、畑や池がある「近光園」に5頭のポニーを迎えた。馬を知るための基本知識、驚かせないための注意点を学んでから、ブラシをかけ、ニンジンを与えて、一人ひとりがポニーとふれあう体験をした。

 「動物のぬくもりや呼吸を感じ取り、命の尊さを実感する感動やわくわくした体験は、子どもたちの心を豊かにし、好奇心や学習意欲を刺激するきっかけになる」と梅本初等科長はいう。

 学習院の教育目標である「ひろい視野、たくましい創造力、ゆたかな感受性」のもと、初等科では、「真実を見分け 自分の考えをもつ子ども」の育成をめざしている。その実践で大切にしているのが、基礎基本の徹底と、本物や質の高い経験を重ねることだ。

 先生方が穏やかに美しい日本語で声をかけ、目配りをする教室や校内に、自分の思いや考えをていねいに語り、友だちの意見に心をこめて耳を傾ける子どもたちの毎日がある。そのような環境で、何事も飾ることなく、本質に目を向けられる価値観が育まれていく。

6年生児童20名が英国チェルトナムの
小学校を訪問

 

背景や文化を知り使うための英語学習

 コロナ禍のため中止となっていた英国研修は、2023年の春に実施され、6年生の希望者の中から抽選で20名が選ばれ、何度も講習会や発表練習を行い、英国チェルトナムの小学校を訪問した。10日間、参加児童はホームステイしながら、現地校児童のバディと同じ授業に参加し、学習院の歴史や書道、ソーラン節などの日本文化を紹介して交流を深めた。また、ストラットフォード・アポン・エイボンやウインザー城、オックスフォード大学などを訪問した。

 「2020年からこれまで6年生全員がチェルトナムの児童と文通で親交を深めていましたが、参加した児童たちは、実際に会ってコミュニケーションする喜びを実感していました。英国研修では、その国の文化や精神に触れ、英語の歴史と本質に触れるプログラムを組んでいます。24年の夏休みには、6年生約20名が豪州メルボルンの学校を訪問する研修も始まります。初等科では、英語を習うだけではなく、海外交流校の児童を相手に英語を使う場面も用意されています。海外研修や文通などの体験が、英語を使う意識を高め児童一人ひとりの視野を広げています」と英語科の田中聡子先生は説明する。
 

音楽で育む調和とハーモニー

 1〜2年生の授業では、主に鍵盤ハーモニカで音階や演奏を学び、同時に1年生のうちに簡単なコードネーム(和音の構成を表す記号)を学んでいく。3年生の授業では、楽譜に音名が記されたオリジナルテキストを使用。リコーダーを練習しながら、読譜力(楽譜を読む力)を身につけていく。こうした取り組みには、子どもたちが生涯にわたって音楽に関わり続けてほしいという願いが込められている。

 「楽譜やコードネームを読めるようになると、より多くの楽曲と出会うことができ、目の前の楽譜の演奏にアドリブを加えることができるので、音楽の楽しさや奥深さを知るのに役立ちます」と話す音楽科の立原正教先生。

 また、高学年ではアンサンブル(合唱・合奏)を多く取り入れ、自ら考えて演奏したり、鍵盤ハーモニカやリコーダー、打楽器などを簡単なコードでアドリブ演奏したりする授業も行う。

 「合唱・合奏を通して自分を表現し、調和がとれるよう仲間と協力し合って豊かな人間関係を育むことは、音楽の本質であり、学習院の『自重互敬』の精神にかなったものです」と立原先生は話す。

2人1組で学んでいくヴァイオリン演奏の授業

本物のヴァイオリンで学びあう喜び 

 3年生の3学期には、ヴァイオリン演奏を習う授業がある。演奏を教える音楽科の室伏唯史先生は、「やさしく、ていねいに、心地よく」指導することを心がけ、夢中になって取り組む子どもを笑顔で見守る。

 「ヴァイオリン未経験の児童でも迷うことのないよう、楽器の正しい構え方、弦のはじき方(ピチカート)、弓の持ち方など、段階的に学びを進めていきます。今日は3回目の授業で、弓を弦に当て、実際に音を出すことに挑戦します」と児童一人ひとりに目を配る。

 TTで授業を担当する音楽科の細谷優子先生は、「楽器は、2人1組で使います。楽器の持ち方や姿勢を確認し、互いの音を聞き、感想を伝えながら学びをすすめます。これにより、困っている子を助ける思いやりや優しさが生まれます。仲間の上達を喜び、クラス全体ができるようになることがうれしい。そう感じている子どもが多いです」と話す。

 授業が終わりに近づくころには全員が音を出すことに成功。その表情は「弾けた」という達成感で輝いている。

 初等科には80名以上が参加する管弦楽部があり、4年生から6年生が練習を重ね、毎年4月に目白キャンパスで行われる「オール学習院の集いの合同演奏会」や、12月の初等科管弦楽部の「小さな音楽会」で演奏を披露している。

休み時間に活発に遊ぶ児童たち

実体験の積み重ねが生きる力の原動力に

 グローバル化やAIやロボットなどの技術革新が進み、予測困難な時代といわれるなか、人が果たすべき役割はどのように変化していくのか。

 5年生の社会科見学での車工場の例をあげて、「世の中がどれだけ便利になってもやはり人の力は必要です。困難な場面では、心が揺さぶられる実体験の積み重ねこそが生きる力の原動力になります。子どもたちは人やもの、自然、生き物との関わりの中で、自分で考え、工夫して、思いを伝え、仲間と学びあいながら視野を広げていきます。うまくいかないこともきっとあるでしょう。しかし、そういった体験こそが次の新たな考えや行動を生み、生きる力の土台になります。失敗から学ぶ経験も大切なことと思っています」

 梅本初等科長は、そう話す。

室伏先生                細谷先生                立原先生

School Data
設立年 1877年
学制 共学(男女比1:1)
系列校 学習院大学、女子大学、中等科、高等科、女子中・高等科、幼稚園
児童数 1学年136名(34名×4クラス)
授業日 週5日制
学期 3学期制
昼食 給食/月1回お弁当の日
初年度費用 1,392,000円(2024年度)
進路 ほとんどの児童が学習院中等科・学習院女子中等科に進学
学校説明会 2024年5月13日(土)四谷 HPでご確認ください。
学校見学会

2024年9月7日(土)四谷 HPでご確認ください。

※上記は2024年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2024」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。

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