教育目標
真実を見分け、自分の考えを持つ子ども
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継承されてきた教育研究のさらなる向上に努める教科担任制と専科の独創性が力を合わせて進める授業の一端を先生たちが語る。
教科担任制のしくみ
学習院初等科では教科担任制をとっている。
各学年4クラスを、国語・国語・算数・社会それぞれの専門をもつ4人の先生が担任する。
4年生までは、主管(クラス担任)の先生が国語・社会・算数・道徳・総合の授業を受け持つ。
5・6年は、全授業をそれぞれ専門の先生が担当する。算数科の先生なら、学年4クラスの算数の授業を週5回行う。
音楽・図画工作・理科・体育・英語・図書・家庭科・情報はすべて専科の先生が担当する。
国語・算数・社会も教科ごとに研究を重ねている。年間の課題を考え、指導法を検討し、子どもたちの学習状況を見ながら、学年全体、初等科全体の学力向上を図る。
初等科の教科担任制には長い伝統がある。宮内省直轄の官立学校として発足した当時は、初等教育の専門家というより高度な学識を持つ教育者である先生が多く集まっていたので、先生たちは小学校教育を行うために研究を始め、実践の記録を残してきた。
その伝統を受け継ぎ、教科研究を推し進め、独自にカリキュラムや副教材を作成し、学会や研修会に参加し、講師を務め、出版物の刊行も行ってきた。
「私が教員として算数部に加わったときも、優れた先生がたが集まっていました。すでに発行回数を重ねていた、私学の小学校の研究会で作成する『算数問題集』の編集責任者は、代々初等科の先生が務めており、後に私もその機会をいただきました。」と、大澤隆之初等科長は振り返る。
「子どもたちの人間的成長を見守るとともに学力向上を進めるのが教科担任制の長所です。また、スペシャリストが指導する専科の授業とコラボレーションして、行動的な学びを展開します。すべての教科で、専門分野をもつ先生の指導が、子どもたちの探求心を刺激し、前向きな姿勢につながります。」
研究の蓄積は今も活用される
算数科の関口慎吾先生は、算数部で制作した副教材の恩恵を実感している。
「算数は得意不得意がはっきり表れる教科なので、とにかく苦手にならないように工夫します。計算が得意な子もいれば図形に興味をもつ子もいますから、少し長い目でみる必要があります。九九が覚えられないと慌てず、順を追って繰り返し続けていけば必ずできるようになります。割り算がわからなかったら、掛け算に戻って学習し直せばいいのです。1年生から6年生までの算数科の副教材が、最近のものだけでなく、前の先生方が遺してくださったものも冊子とデータで保管してあります。進行中の授業とは別に、『この子に今、必要なプリントはどれだ?』とデータを開いて1枚プリントして個別指導に使えるのは有難いことです。」
国語科の梅田芳樹先生は、副教材製作の経緯を語る。
「三十年ほど前、大学の先生から『学生のレポートがきちんと書けていない』とお話があり、初等科から大学までの教員が協力して、副教材を作ることになったと聞いています。1年から6年までを通して指導順序が考えられているので、子どもたちの理解に添いやすいと思います。」
山﨑友佳理先生は「美しく正しい日本語を身に付ける基礎基本の徹底は初等科の伝統です。一方で、人の話を聴き、自分の気持ちや考えを表現する学びは、子どもたちが主体になって活動的に進めます。」と言う。総合的な学習「さくら」の時間には日本文化に親しむ体験をする内容で、主に国語科が担当する。6年生は俳句を毎月一句つくる。その句を集め、名前を伏せて発表し、みんなの投票で「俳句マイスター」を表彰する。1年分の句を集めて句集を制作し、自作の一句を選んで色紙もつくる。
「句集や色紙制作は図画工作科に助けられています。」と言いながら、渡邉知慶先生は、子どもたちの作品や制作物の資料化に注力している。
「句をつくりながら季語を系統立てて一覧表をつくっていきます。ことわざ、二字熟語、慣用句なども、子どもたちのなかで担当者を決めて調べ、集まったら冊子にまとめます。自分たちでつくったものは使い勝手がいいので、理解にも記憶にも役立ちます。」
社会科の永山淳一先生は、令和4年度に六年生となる子どもたちとは、一年生の時から一緒だった。五年生になり、四クラスを一人で授業するようになり、改めて教科担任制の良さを感じたという。
「社会科は調べごとや図表づくりが多いので、タブレットを活用するようになって学び方に変化が生まれました。授業の内容だけでなく、タブレットの使い方も含めて、四クラスを同じように指導できるメリットがあります。例えば、私が、〈開ける時に指を切らない缶詰め〉を製作している町工場を紹介して、『こうした工夫があるものは他にもありそうだね。』と言うと、子どもたちはタブレットを使って検索して調べ出します。以前なら、『教科書や資料集で調べよう。』と私がリードするところですが、子どもたちは自分でキーワードを考えて検索し、みんなで情報を出し合います。」
地域、自然、仕事場など、人々の営みの実際を観察・体験する学びを重視している社会科部の先生方は、新しい教材を探しに、夏に宿泊研修をする。
「教員間の親交を深めるだけでなく、教材に適した現場を探して現地調査をすることも目的です。」という。東京都西部の檜原村と奥多摩町を訪れた際には、都心とは違う生活や林業を体験した。そして、たくさんの地域の方と出会うことができた。教科担任制では、こうして現地調査の成果を四クラスの子どもたちに還元することができる。
初等科では、毎年、八丈島産のフルーツレモンを給食で出している。授業で取り上げたものを身近に感じてもらう工夫をしている。教材化したものは給食とも繋がっている。
3教科をサポートする専科
専科の先生は、専門の授業のほかにクラスの活動をサポートし、各教科と連携して授業の幅を広げる役割を担っている。
体育は、学年週1回の学年体育の時間には4クラスの担任も参加する。校外学習や行事では体育の先生が受け持ち学年と行動を共にする。
「年に数回ですが2学年体育の時間もあり、2年生は生活科でペアを組んでいる1年生に縄とびを教えます。4年生はソーラン節を3年生に教えます。」と、石橋美樹先生は子どもたちが学年を超えて交わる機会を生かして、教えることで上の学年の上達も図る。
3年生から始まる英語は、少人数で行い、複数の教員が担当し、発話の機会を増やす。
「教材はオリジナルです。初等科生の実態に合わせて作成したお話を使って新単元を導入し、ゲームや表現活動を通じてさらに理解を深めます。」と田中聡子先生。
理科は、理科室での実験だけでなく、校内の教材園での栽培活動や草花の観察など、実物に触れる機会を増やすようにしている。また、観察した事物・現象に対して、お互いの気付きや考えに耳を傾けながら活発に意見交換を行い、考察を深める時間を大切にしている。
理科担当の安藤諭先生は、「体験、経験を重ねながら科学的な見方・考え方を養うことで、広い視野から、適切に判断し、行動できる力を身に付けてほしいです。」と語る。
図画工作科は、それぞれ得意分野の違う3人の先生が、定番の課題も新しい課題も、毎年アイデアを出し合ってチャレンジしている。 「子どもたちも、私たちも楽しいことをしたい。」と水上美絵先生は言う。「花壇をつくってタデアイの種を蒔き、育った葉を摘み取って叩き染めをした時は、理科に相談し、用務員さんが手伝ってくださいました。葉で染まった布には、葉脈までくっきり出て美しい作品ができました。」
6年生は毎年初等科祭にミニ屋台をつくって展示する。21年度は、国語科でそのミニ屋台に就職するという設定で就職活動をする授業が行われた。
教科担任制と専科制の協力体制が、先生たちに時間的ゆとりをもたらし、初等科全体が親密な一体感で包まれる。
設立年 | 1877年 |
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学制 | 共学(男女比1:1) |
系列校 | 学習院大学、女子大学、中等科、高等科、女子中・高等科、幼稚園 |
児童数 | 1学年136名(34名×4クラス) |
授業日 | 週5日制 |
学期 | 3学期制 |
昼食 | 給食/月1回お弁当の日 |
初年度費用 | 1,532,000円(2021年度) |
進路 | ほとんどの児童が学習院中等科・学習院女子中等科に進学 |
学校説明会 | 2022年5月14日(土)HPでご確認ください。 |
学校見学会 | 2022年9月10日(土)四谷 HPでご確認ください。 |
※上記は2022年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2022年春号」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。
http://www.gakushuin.ac.jp/prim/