教育目標
真実を見分け、自分の考えを持つ子ども
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基礎基本、本質を見抜く力を育てる。慎重に準備したタブレットの活用は多彩に広がる。
オンライン授業と対面授業
2020年は、4月の新学期をコロナ禍による休校の中で迎えた。初等科では、オンライン授業については、子どもたち全員とつながることを前提とし、なおかつ安全性・信頼性が確保できるシステムを選択するために、時間をかけても慎重に検討する方向を決める。
「子どもたちひとり残らずとつながることが最優先です。教科の学習はみんなができる方法で行うことを決め、4月半ばより情報連絡システムを利用して、家庭に学習プリントや授業の動画を配信しました。登校が再開した6月初めまでの1か月半で学習プリントを約420部、動画を約290本配信しました」と、大澤隆之初等科長は語る。
それでも、教科の学習だけではない、学校生活のすべてが子どもたちを成長させるものであり、友だちと顔を合わせて交わるふれあいに勝るものなしということを、強く感じていた。
2学期からは、感染症対策を徹底して、できる限り平常の学校生活を取り戻すことにした。通常の授業はもちろんのこと活動、行事もできる範囲でやっていくことで教職員が知恵を絞った。
朝礼は2クラスずつ2日に分けて行った。給食は3学年が食堂でいただき、1学年は給食室で用意したお弁当、2学年は特別に購入した個包装のパンを教室でいただく。
1年生を迎える会は9月に開催。運動会は3学年ずつ午前と午後に分けて。遠足はバスを倍増して密を避け、初等科祭も3日間の日程にして午前と午後に分散する形に工夫。12月からの高学年の早朝マラソンは、1日1学年ずつで実施した。
「こうした状況の中で、5・6年生が、自分たちが引っ張るのだ、しっかりしなければと自覚をもって行動してくれたことは、大きな成果でした。行事や委員会活動などで、人間性を大きく育てることが初等教育では必要と改めて感じました」。
活用を考えてICT環境を整備
一方で、ICT教育担当教員は、将来を見すえて準備を進めた。すでに十分なWi-Fi 環境は整備されていたので、1人1台配付するタブレット端末の機種とオンラインのツールの選定を開始。他校の状況を尋ね、通信事業者から情報提供を受けてリサーチを重ね、大学の計算機センターのアドバイスも受けた。操作のやりやすさと高い安全性を両立させるインターネットアプリの選択は、とくに慎重に行った。
最終的に、タブレット端末はWi-Fi とモバイルデータ通信の両方が使えるセルラーモデルを採用。家庭でも校外学習でも使えるようにすることで活用の幅を広げた。ツールはオンデマンド(一方向配信)に用いるセキュリティが高い動画配信システムと、操作性がよいものに信頼性を加えたオンラインシステムの2つと契約した。
全校児童のタブレット活用が始まったのは2021年の1月から。操作を覚えながら、安全に使うことの重要性を徹底した。家庭には、初めのうちは保護者同席で使うことや家の外では動画を撮らないことなどをお願いして、連携を取りながら指導を進めた。
チェルトナムと手書きで文通
英国・チェルトナムの海外研修もコロナ禍で中止になった。「それがかえって、ふだんはできない学習をする経験になりました」と話すのは梅本恵美教頭。
初等科ではチェルトナムの伝統ある小学校と交流関係を結び、2020年の春に6年生の希望者が訪問する予定だった。それができなくなった代わりに、文通をしましょうと提案され、6年生全員と相手校の5・6年生とが1名対1名で手紙を交換することになった。
ひとりずつ自分あての封筒を受け取った子どもたちは、手書きの英文手紙にとまどいつつも大喜び。読めない箇所や知らない単語を英語科教員3名と英国人講師などの3名につきっきりで教えてもらいながら読み、添削指導を受けながら返事を書いて送った。
自分や家族のこと以外に、日本文化についての質問に答えて、富士山やお相撲のことなどを、調べながら綴った。
「思いがけない濃密な英語学習を6年生全員が体験しました」と梅本先生。返信の封筒には小さな折り鶴を同封する子もいた。
3学期はチェルトナム在住の10家庭とオンラインで交流するオンライン・ホームステイも実現した。次回はもっと多くの家族との交流を予定している。
以前から交流のあるオーストラリア・メルボルンの小学校とは、委員会活動のひとつとしてオンライン交流を行った。剣道の切り返しの様子や初等科ソーラン節を踊る様子を送ると、メルボルンの子どもたちもまねをして踊るなど、オンラインならではの交流となった。
「以前から交流があり、互いの教員間に信頼関係ができていたおかげで、すばらしい国際交流ができました」と大澤科長は学校同士の交流の成果を語る。
「初等科流」が合言葉
3年生から始まる情報科の授業では4つの目標をあげている。
1、情報機器としてのコンピュータの基本的な操作能力を習得して、しくみや機能を理解する。
2、情報のモラルについて正しい認識をもって、インターネットを安全に安心して活用する。
3、プログラミングをすることで情報処理の流れを学び、結果を得る、あるいは課題を解決する。 4、コンピュータを活用して、自分の考えをまとめ、整理して表現する。
学校では、ネット上で情報を入手する場合の信頼性の判断や取扱上の著作権などの注意と併せて、知らない人とつながることのリスクを折にふれて教えている。
2番目のモラルについては、常に注意喚起をしており、たとえば「タブレットで写真を撮る」授業でも、撮影・保存・再生の操作だけではなく、1枚の写真に含まれる情報が見る人にどう受け取られるかをみんなで考え、写真の取り扱いや管理方法の大切さを学ぶ。
3年生はソフトを使って絵を描いたりタイピングを練習したりといった、楽しくコンピュータに親しむ経験から入り、その後は3枚の絵でつくる紙芝居、コマ撮りのアニメ―ション化、作曲などプログラミング技能を生かした活動を行う。
高学年になると理科の実験記録や社会科の調べ学習などICT活用は大きく広がり、子どもたちは自分なりのアイデアや工夫を生かす。
もちろん、従来の初等科の学習は大切にしている。正しい筆順でていねいに書く文字の学習や、姿勢正しく行う毎日の音読などは、小学校では欠かせない。どの教科の授業でも、黒板やノートを用いる学習とICTがコラボレーションする。この「初等科流」はICT教育研究チームの合言葉になっている。
協働学習はICT活用で
「授業でタブレットを使う意義は、最終的には協働学習にあります」と大澤科長は言う。
「物事をよく観察して、気づいたこと、考えたことをタブレットに書く。それを一つの画面でいっせいに見ることができる。異なる意見を見つけ、意見の違う同士がぶつかり合って、互いに影響し合って問題解決の答えを見いだしていく。それこそが、新しい価値の創造です」。
協働学習の過程で新しい価値を生み出す「創造性」は、初等科の教育目標「真実を見分け自分の考えを持つ」ことと重なる。初等科がすべての教科において徹底指導する「基礎基本」は、「本質を見抜く力」を育む。
設立年 | 1877年 |
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学制 | 共学(男女比1:1) |
系列校 | 学習院大学、女子大学、中等科、高等科、女子中・高等科、幼稚園 |
児童数 | 1学年136名(34名×4クラス) |
教員数 | 常勤41名、非常勤8名 |
授業日 | 週5日制 |
学期 | 3学期制 |
昼食 | 給食/月1回お弁当の日 |
初年度費用 | 1,532,000円(2021年度) |
進路 | ほとんどの児童が学習院中等科・学習院女子中等科に進学 |
学校説明会 | 2021年5月8日(土)HPでご確認ください。 |
入試説明会 | 2021年9月11日(土)目白 HPでご確認ください。 |
※上記は2021年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2021年春号」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。
http://www.gakushuin.ac.jp/prim/