学習院初等科

 教育目標  
真実を見分け、自分の考えを持つ子ども

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ゆるぎない基礎、基本の学習は
変化する世界を視野に
正しく、思いやり深い人を育てる

梅本恵美初等科長

心が通い合う言葉の指導

 子どもたちの机の上には初等科の独自テキスト『ことばをさがそう』が置かれている。1年生の国語の授業で4月から学んできた「あ」のつく言葉から「わ」のつく言葉までを振り返りながら、新しい言葉との出合いの機会を作り、言葉を増やしていくという狙いで作られた独自テキスト。これには、初等科の国語を担当する先生たちが、通常使用している教科書だけではなく、いろいろな本や教科書にあたり、吟味して集めた言葉が収められている。

「1年生には聞き慣れない言葉も多くある。だからこそ、その言葉との出合いを大切にしたい」と加藤真奈美先生は話す。撮ってきた畦道の画像を電子黒板に映し出し、自身の体験を交えながら畦道の説明をする。黒板には、大きな田の内側の十字があぜに見える図を描く。子どもたちはたちまち畦道を理解し、あぜみちとテキストに鉛筆で丁寧に書き込む。

 次に、タブレットを出して、目に見えない「あ」がつく言葉を各自が思い浮かべ、その言葉のイメージの背景色を選び、表す課題に取りかかる。

 あした、ありがとう、アナログ、あつい……、電子黒板に集められた言葉をみんなで読み上げる。いちばん多かったのは「ありがとう」。「ありがとう」にピンクの背景色をイメージした子は「ほっこりする感じ」と言い、スカイグリーンをイメージした子は「すっきりさわやかな感じ」と発言し、同じ「ありがとう」でも、そこに込められている気持ちには違いがあることに気づく。自分たちが使う言葉を、心を伝え合う素敵な文化として伝え合う。言葉に込められた細やかな心の通い合いを、国語学習の入門期から大切にしている。

3年生にブックトークをしている4年生

昔話ブックトーク

「低学年では自分の思っていることを、素直に相手に伝えられることが何よりも大切です。そのために、たくさんの言葉と出合う機会を作り、言葉を増やしていきます。中学年になると増えた言葉を使う表現力もつき、相手のことを思いやりながら、自分の考えを伝えられるようになります。まずは自分の気持ちを伝えることが楽しいという感覚をもってほしいと願っています」と安齋秀俊先生は話す。国語科主任でもある安齋先生は、昔話には子どもの心に響くものがあるのではないかと考え、司書教諭の村木郁子先生に相談した。そこで、村木先生は2022年の初等科祭の図書館展示に『昔話ブックトーク』を企画した。

 ブックトークとは、一つのテーマに沿って、関連した何冊かの本を紹介すること。4年生の図書の授業で、昔話の「おもしろさ」に焦点を当て、本を3冊紹介することにした。

 昔話には、「おもしろさ」がいくつもある。予想外のことが起こるおもしろさ、不思議なことが起こるおもしろさ、繰り返すおもしろさなど、30のポイントを村木先生があらかじめ提示し、子どもたちは、開架された世界各国の昔話をたくさん読んで、どのおもしろさに当てはまるかを考え、メモをしていく。そのなかから選んだ1つのおもしろさをもつ3冊を選ぶ。

 子どもたちは、その昔話を読んだことがない人にも、お話の「おもしろさ」が伝わるように、何度も読み返しながら原稿用紙に書き出し、それをタブレットに入力して展示作品として完成させた。

 初等科の子どもたちの書く文字は、正確で美しい。低学年から書き方の学習時間を十分に確保している。タブレットでまとめるとはいえ、まずは手を動かして書くことを大切にしている。

 初等科祭の後、4年生は展示した原稿をもとに3年生の前でブックトークを行った。

「3年生もよく聴いて楽しそうだったので、4年生には自信になったと思います」と村木先生は話す。

自立した英語学習を

 英語の授業は、3・4年生は週1回、5・6年生は週2回、それぞれクラスを半数に分けて少人数で行う。3年生は日本人教員2名、4・5・6年生は英語の決まりや書き方を教える日本人教員、会話や発音を教える英語母語話者教員と日本人教員のチームティーチングの3名の教員で指導する。教材は、お話・語彙・ゲーム・発音など内容のほとんどを児童のタブレットへ配信している。

「言葉の使い方は無限です。初等科での4年間は、英語学習を先々まで自立して続けるための基礎づくりと考えています。音や文の決まりを学び、タブレットの教材にあるたくさんの言葉から、自分が本当に伝えたい言葉を選び文章にする力を育てることが、ICT(情報通信技術)が進んでいる時代にふさわしいように思います」と英語科の矢野紗弓先生は話す。

 学習した表現を使って、観光地案内や和食を紹介する発表に取り組むなど、児童は日本文化を理解し、そして世界へと視野を広げている。

英国チェルトナムの児童から届いた手紙を読む6年生

顔の見える国際交流

 初等科の国際交流は全て、相互に信頼を築いた海外交流校との相談の上に成り立っている。2020年に実施予定だった英国研修は、コロナ禍のため中止となったが、2023年の春は、6年生児童20名が英国チェルトナムの小学校を訪問した。両校の教員は、ホームステイやアクティビティなど、お互いのことを知るためのたくさんの交流の機会を計画した。

 豪州メルボルンの小学校とも深い親交がある。私立女子校・私立男子校で日本語を選択している児童と、国際委員の5・6年生とで、年に2回、オンラインで交流を重ねている。

 文通交流は、英国研修が中止となった際に、相手校の先生の提案で始まった。6年生全員が相手校のYear5児童へひとりひとりが手紙を書き、更に返事を受け取る。前出の国際交流では視覚を通して伝えられることも、手紙ではできない。相手を思って書く手紙は、児童の言葉への意識を高める。受け取った返事のお相手のくせ字や英国独特の内容を読み解いた時は、児童たちは遠い国にできた新しい友だちとの交流に、目を輝かせる。

「どの交流も、児童が海外の児童と向き合うことで生きた英語を使うと同時に、自分のことや学校のこと、そして日本のことを世界に発信する機会をふんだんに持つことができます」と国際交流主管の田中聡子先生は話す。

 情報技術の更なる進化が予想される今後、世界の人々とつながる言葉はどう変化するのだろう。

 梅本恵美初等科長は、日本人が学ぶ国語の重要性を語る。

「初等科では、国語教育をすべての学習の基礎・基本と捉え、子どもたちを正しい日本語の担い手として育むための指導に力を入れています。言葉を正しく使うことを意識し、正しく使えるようになると、正しく使う気持ちよさを知ることができます。今自分の考えていること、感じていることを表すのに、この言葉が最適か、しっかりと伝わるかと、必ず考えてから使うようにすると言葉の力が育ちます。言葉に思いを込めることを大切にすると、心の教育にもつながります。このように、それぞれの授業の中で、初等科の教員が言葉を大切にした教育に取り組んでいます」

 正しい日本語の担い手として、日本の文化を継承するという自覚と誇りを持つことが、これからの国際社会で活躍する原動力になると、梅本初等科長は展望する。

School Data
設立年 1877年
学制 共学(男女比1:1)
系列校 学習院大学、女子大学、中等科、高等科、女子中・高等科、幼稚園
児童数 1学年136名(34名×4クラス)
授業日 週5日制
学期 3学期制
昼食 給食/月1回お弁当の日
初年度費用 1,577,000円(2022年度)
進路 ほとんどの児童が学習院中等科・学習院女子中等科に進学
学校説明会 2023年5月13日(土)四谷 HPでご確認ください。
学校見学会

2023年9月9日(土)四谷 HPでご確認ください。

※上記は2023年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2023年」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。

http://www.gakushuin.ac.jp/prim/

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