教育理念
広い視野のもと、豊かな人間性と独自の見識を持ち、
世界を心に入れた人を育てる。
個性を発揮しながら、他を尊重する心を育む。
〒196-0002 東京都昭島市拝島町5-11-15
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最寄駅●スクールバス(拝島駅、八王子駅、京王八王子駅)/路線バス(JR中央線・南武線)
理解し、考え、表現する
緑豊かな広い敷地内のいたるところで子どもたちの元気な声が飛び交い、笑顔があふれる。多様性を受け入れる創立の理念の通り、さまざまな国・地域にバックグラウンドをもつ国際生が、今は初等学校全児童の33%在籍している。国内育ち、帰国生、国際生と母語も文化的背景もさまざまな子どもたちが触れ合い、伝え合い、友だちになっていく環境は日常のものであり、学校全体に一体感がある。
「学校で学ぶことは知識や経験だけではありません。学ぶなかで、自分とは違う考えがあることを知り、受け入れて、人と人との関係を育んでいます」
校長の佐川康博先生は力強く語る。
「先生が話し子どもたちが聞くという形の学習では、どれだけ身に付いたか、子ども自身にもわかりません。見たこと聞いたこと知ったこと考えたことを、話したり文章に書いたりして発表する。友だちからの感想や質問を受け、考え直す。この学びのサイクルを通して友だちや先生、家族との人間関係が築かれていきます。この、クラスやグループで意見を出し合って進める学習が、一人ひとりの個性に合わせた学びになっています。2018年から、啓明の掲げる『創造的な学び』を推進するために教員は実践を積み重ねています。」
互いに「振り返り」を重ねる
導入した研修とは、教育学者鶴田清司氏の著書『授業で使える! 論理的思考力・表現力を育てる三角ロジック:根拠・理由・主張の3点セット』(図書文化社2017年刊行)に基づいて行う実践指導である。「根拠・理由・主張の3点セット」とは、スピーチでも作文でも、テーマにした話の根拠、取り上げた理由、話によって訴える自分の主張の3点で構成するトレーニングによって論理的思考力・表現力が育つというもの。教育法として、広く知られている。2022年度に、ズームで鶴田氏から直接指導を受けた。
「『私はこう思いました』という主張をするとして、何を根拠にそう思うのか、その根拠が適切と思う理由は何かを明らかにすることが、3点セットの活かし方です。これは、様々な教科や総合の時間にも活用できると考えました」と、国語科の結城しのぶ先生は話す。
総合の時間では自然、命、暮らし、平和、国際理解の5つのテーマを柱に立て、学年ごとに、テーマに沿ったトピックを1年間通して追究する。単なる事実報告ではなく、自分の考察や感じたこと、それによって自分は次に何をしようと思っているかを書く。子どもたちは授業で感じたこと考えたことを文章に書いて振り返り、友だちと先生とで共有する。
中学年になると子ども同士が積極的に『何を? なぜ?』と掘り下げ振り返りを重ねることで、自分が考えたことに、友だちが考えたことも加えて、新しい視点の発見をするようになった。
私が受け持っている5年生のクラスでは、体験を根拠にすると説得力が増すことに気付いた子どもたちが『4点セット』と名付けるようにもなりました。この2年間、休校やオンラインでつながってきた期間を経て、直接触れ合い、言葉を交わすしあわせを改めて感じ、言葉の力の大切さを再認識しました」と結城先生は喜ぶ。
感じたこと、考えたことをお互いに交換し、学び合うことは、どの教科でも行われている。算数ではどこで間違ったのかを発見したり疑問が生れたりする。音楽や体育では、教員や子ども同士で動画を撮って視聴しながら、長所短所をアドバイスする見取りも行われている。
子どもたち自身の「振り返り」と同時に、教員は一人ひとりの思いや考えを丁寧に見取り、その心に寄り添っている。
ディベートで積極性アップ
2022年度は、5年生がディベートの形式を使って論理的思考の研究授業を行った。国語科ではパンかご飯か、外遊びか内遊びかなど、生活経験や一般論で話せるもので話し合ったが、理科では、自然受粉と人工受粉のどちらが良いかを論点にした。専門性が高いテーマなので子どもたちは調べごとに追われた。
「本番では準備資料を棒読みして突っ込まれる場面もありました。ところが、2回戦では、同じ子どもが別人のようにしっかり自分の言葉で新しいことを加えて発言したのには驚きました。どちらのチームも力をつけ、最初は、自分が支持する論点の側に行くことを望んだり、勝ち負けにこだわったりしていたのに、わずかな時間で冷静に論点を戦わせるディベートができるようになったうえに、失敗を苦にせず、改善する努力、励まし合い、支え合うチームワークもできました。そのうえ、『もう1回やりたい』と子どもたちから強い希望が出て、3回目を開催しました」
ディベートが終わってほどなく東北へ体験学習に行った5年生たちは、以前より積極的に行動し、子どもたち同士で探究を深めていっていることに結城先生は気づいた。
体験を伝える強み
国語科では、物語や説明文を読み取る時に、自分が思っていること、考えたことを書き込む指導法を用いている。それぞれが読み取ったことを出し合うことで、新しい読みが生まれる。
共通のテーマで、それぞれ作文を書き、互いにそれを読んで意見交換をする学習法も用いている。自分の考えを正しく伝えること、聴き手から新たな視点を教えられることを学ぶ。
「子どもたちは体験に基づいて具体的に書くことで論理的に書けるようになる」と結城先生は考えている。
国際学級で、まだ入学して日の浅い国際生3人がチームになって共通テーマの作文を書き、1人の作文を読み上げ、2人が聞いて話し合う授業も行った。最初のうちは友だちの作文を聴いた2人の反応は薄かったのだが、作文の内容を具体的に分析して行くうちに3人の言葉数が多くなり、2か月もすると友だちの作文に関心をもち、わからない点を指摘したり感想を言ったりするようになった。
言葉の学習を通して横のつながりを深めることができることを子どもたちが教えてくれた。
子ども同士で分析やアドバイスをすることによって心が通じ合う。
啓明学園の創立者三井高雄氏の「世界の子どもを教育する使命がある」という信念を継承し、一人ひとりを丁寧に学びに導く方針が貫かれている。
佐川校長は、「啓明の教育に賛同してくださる方に入学してほしい」と語り、結城先生は「就学前にたっぷり遊んできて! 考える力、表現する力をつけるのは学校で」と言葉を添えた。
設立年 | 1940年 |
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学制 | 共学(男女比1:1) |
系列校 | 啓明学園中学校、啓明学園高等学校 |
児童数 | 1学年約40名(2クラス) |
授業日 | 週5日制 |
学期 | 3学期制 |
昼食 | 持参または学校指定業者のお弁当利用 |
放課後プログラム | アフタースクールあり |
初年度費用 | 913,000円(2022年度) |
転入・編入 | 1~6年生(応相談) |
進路 | 85%〜95%が系列校へ進学 |
学校説明会 | 5月9日(火)、6月7日(水)、6月23日(金)、9月2日(土)、9月13日(水) |
公開行事 | 運動会(予定)5月27日(土) |
※上記は2023年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2023年」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。
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