教育理念
広い視野のもと、豊かな人間性と独自の見識を持ち、世界を心に入れた人を育てる。
個性を発揮しながら、他を尊重する心を育む。
〒196-0002 東京都昭島市拝島町5-11-15
TEL:042-541-1003 FAX:042-542-5441
http://www.keimei.ac.jp
最寄駅●拝島駅(JR青梅線・五日市線、西武線)よりスクールバスで6分。立川駅(JR中央線・南武線)より路線バスで25分。八王子駅(JR中央線・横浜線)よりスクールバスで30分。京王八王子駅(京王線)よりスクールバスで20分。
駆け回る、池をのぞき込む、石に腰かけて語り合う子どもたち。歴史が培ってきた啓明の魅力を、佐川康博校長が説き起こす。。
伝え合い学び合うサイクル
啓明学園初等学校は、三井家総本家に生まれ育った三井高維氏によって、海外勤務から帰国した社員の子どもたちが学びやすい小学校として創立されたのが始まりであり、現在、海外在住からの帰国者、国内インターナショナルスクール出身者、外国籍家庭や国際結婚家庭の子どもたちの入学・編入生を受け入れている。日本で育ってきた子どもたちと同じクラスで学ぶが、必要に応じて国語(日本語)や算数、英語はそれぞれの力に合わせて教室を分けて指導している。
佐川「学校は出会いの場です。先生と、友だちと、自然と毎日新鮮な出会いがあります。授業も出会いです。知らない考えや事象と出会い、それを受け入れて、自分のなかで改めて考えてみる。疑問や異なる発見を先生や友だちに話してみる。友だちの話も聴く。自分で考え、人と話し合うことで、考えや創造性が深まります」。
授業を受けるのではなく、授業で学ぶ。個別学習ではなく、学び合う。啓明学園初等学校では、この考え方を土台として、各教科の独自の「学びのサイクル」を進めている。
初めて観たもの・聴いたこと・出会いをしっかり受け止め、考え、伝え、また聴き、さらに考える。「聴く、考える、伝える」のサイクルが創造的な学びに発展し、子どもたち一人ひとりのなかで価値形成が起こる。
教科の授業に限らず、休み時間や放課後の活動、体験学習などはすべて、先生と子どもたちとが、同じ場で同じことを考える協同作業。体と心をフル活用して、そこで得たものを次へとつないで新たな学びのサイクルを回していく。
創造的な学びへ
佐川「1・2年生の『森遊び』は自由に過ごす時間です。木立の間を縫って鬼ごっこをする子、どんぐりを拾ってポケットに入れる子。水たまりを囲んでのぞき込んでいる数人は、水に落ちている小さなガラス片に太陽の光が当たってキラキラしている様子をながめながら、『オレンジ色に光っている』『ちがうよ、黄色だよ』と言い合っている。
教員は、危なくないと判断したら、急いでガラス片を取り除くことはせず、どうして違って見えるのかな、といった問題提起をすることもありません。
子どもたちの観察が終わったら、『誰かが踏むと危ないからね』と言ってガラスを拾います。もし、自分から光のことを調べてみようと言い出したら、そこで初めて助言します。
3・4年生になると、具体的な考察から抽象的な考察に変化していきます。この、10歳~11歳の壁を乗り越える時間を、教員たちは教科を超えて協同で応援します。
人の意見を聴き、自分の意見を説き、共鳴し合い、思考が深まる。対話を重ねるなかで見えてきた問題点から、課題の立て方がわかり、さらに解決方法を考える。
子どもたちの興味・関心は、おとなの何十倍も強く、見えない橋を渡っていくように、学び合いますから、教員は最小限の助言にとどめ、新しい視点のゆくえを見守ります」。
約8万6600㎡(約3万坪)の敷地に、南面する正門から入ると東側に初等学校校舎、その奥に日本庭園、さらに北に自然観察林が広がっている。1・2年生の「森遊び」はここで行われている。丸太のシーソーづくりやがけすべりをするなど、子どもたちは思い思い自由に遊び、チャレンジと危険察知を体で覚える。
西側には敷地に沿って多摩川が流れており、そこから引いた昭和用水路が学園内を流れている。敷地の最北部に学園農園があり、田んぼ、畑、果樹園で子どもたちは農業体験をする。
3年生は畑でサツマイモを育て、4年生は小麦、5年生は米作りに取り組む。実際の作業から、品種改良や食料輸入といった問題に関心を寄せ、お米を収穫しながらお米のPR方法へと興味が発展するといった学びは、机上で知識を学ぶプロセスとは大きな違いがある。
それぞれの地点から次の学びへ
佐川「算数のテストの3問目を、AさんもBさんも間違えたとしましょう。同じ不正解でも、AさんとBさんの答えにたどりついた道のりが同じとは限りません。教員はそれぞれに、思考回路に寄り添って納得できる正解へ導きます。子どもたち一人ひとりに向き合って、力を伸ばすことを追究します。
体験学習をして子どもたちはみんな『楽しかった、おもしろかった』と言うでしょう。けれど、体験で得たものはそれぞれ違います。その子のおもしろいと感じた地点から、次の学びを引き出していくのが啓明の学び方です」。
英語の授業は、日本語で育ってきた子どもと、帰国生や国際生の子どものためにクラスを分けている。さらに、上級クラスを設けて子ども一人ひとりの学習意欲を伸ばしていく。
また、編入生にはクラスの授業時間内で個別指導もするなどきめ細かく対応する。
言葉の背景にある文化も学ぶ。帰国生が滞在していた国、国際生の母国などを手掛かりに異文化を学び、比較して日本文化に触れる機会は多い。
タブレットは、子どもたちが各自保有し、授業で使い、家庭との連絡帳としても使っている。
佐川「子どもたちは、もはやタブレットを遊びの道具だとは思っていません。インタラクティブなツールです。私はICT教育の「I」をインフォメーションではなく、インタラクティブの「I」であると言っているのですが、これはICTを双方向の学びのツールととらえているからです」。
佐川校長の独自理論に背中を押されて、各教科でICTの活用が進んでいる。
世界を心に入れた人を育てる
佐川「私は、本来は国語の教員なので言葉を大事にします。聞くより『聴く』、解くより『説く』を用います。聴くは聴き入る意味合いが強く、説くは聴く側に立って難しいことでもわかるように話す意味です。
よく、うちの子は本が好きじゃないのですが、とご相談をいただくのですが、それには『読み聴かせ』をお奨めしています。高学年はもちろん、幼い子にも『たまには読んで聴かせて』と子どもに読み手を頼んでみるのがお奨めです。聴いた後は、ここがおもしろかったと、必ず感想を伝えます。物語はこの後どうなるのだろうと一緒に空想することなどで協同作業ができます」。
デジタル化が進んでも、言葉と文字は使われ続ける。日本語で学習に参加できる力を伸ばす目標はあるが、バックグラウンドを尊重することを前提に、国も言葉も文化も超えて一丸となって進む教育がある。啓明学園の教育の柱「広い視野のもと豊かな人間性と独自の見識を持ち、世界を心に入れた人を育てる」が紡いできた歴史は、今のこの時代に大きな力をもっている。
佐川「約3割の国際生も日本語で育った子どもも、言葉や文化が異なっても互いを尊重する心を育んでいます。
啓明学園は、世界水準の品性、見識、知識、考え方をもち、世界のすべての人と手をつないで平和を創る『世界市民』を育てることをめざしています」。
設立年 | 1940年 |
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学制 | 共学(男女比1:1) |
系列校 | 啓明学園中学校、啓明学園高等学校 |
児童数 | 1学年約40名(2クラス) |
授業日 | 週5日制 |
学期 | 3学期制 |
転入・編入 | 1~6年生(応相談) |
昼食 | お弁当選択制(自宅から持参または学校指定業者のお弁当利用) |
初年度費用 | 913,000円 |
進路 | 85%〜95%が系列校へ |
学校説明会・公開授業 | 5月11日(水)・6月24日(金)・9月3日(土) |
英語重視国際関係説明会 | 6月9日(木)、個別相談・見学随時 |
公開行事 | 運動会 5月28日(土)、啓明祭 9月16日(金)、17日(土) |
※上記は2022年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2022年春号」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。
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