国際色豊かな友だちと共に学ぶ環境

　１９４０（昭和15）年、海外勤務から帰国した家庭の児童を受け入れる小学校として創立された啓明学園初等学校。現在も帰国家庭、外国籍、国際結婚家庭の児童の入学や編入の希望者は多い。それら「国際生」の国籍や使用言語は多様だが、積極的に受け入れている。「“一人一人が輝き、共に生きる力を育む”のが本校の目指す教育です」と語るのは、操木（くりき）豊校長。その根底にあるのは、キリスト教の“他者を思いやり、みなを愛す”という教えに基づく全人教育にある。

　国際生も英語、国語、算数以外は、一般生と同じメインクラスで共に授業を受ける。日常の校内放送や行事等も２か国語で行われ、児童たちの会話も自然に英語と日本語が行き交う。「本校の一番の魅力は、バックグラウンドの異なる子どもたちが、日常的に一緒に過ごせることです。異なる文化や生活習慣を受け入れ、尊重する精神を自然と身に付けることができます。小学校生活の中で、真の国際人に必要なグローバルマインドと英語力、その両方を養うことができます」（操木校長）。

　年間を通じて多彩な外国人ゲストを招き、人と人とが触れ合う国際交流も盛んに実施し、子どもたちの世界観を広げている。

日本語と英語。どちらも確実に伸ばす教育

　英語教育においては段階的なクラス分けをして行われる。週２回あるネイティブ教師による英語クラスをインターナショナル、インターミディエート（２０１７年度より新設）、ドメスティックの３つに分け、インターミディエートはプリスクールやインターナショナル幼稚園の出身者など、ある程度英語の素地がある児童のニーズに応える。児童全体の英語力が高いのもこうした英語を感覚的に取り入れる環境が整っているおかげだろう。「もちろん多くの日本人は日本語を母語としていますから、日本語の基礎を固めることが大切です。日本人としてのアイデンティティを確立してこそ、世界で活躍する国際人が目指せます」（操木校長）。

　３年生以上は全員が日本語検定を受験する。一方で、母国語や家族の言語が日本語ではない児童の「母語」は十分に尊重する。「母語」を認識し、そこにアイデンティテイをもつことは重要事項であり、個々の事情に添ってきめ細やかに対応する。