言語や文化的背景の異なる児童を受け入れてサポート

　外国からの帰国生や外国籍など、日本語力が不十分な児童を多数受け入れている啓明学園初等学校。校内に日本語教師の資格を持つ講師が常勤する「国際学級」を設置している。年度途中でも個別相談のうえで転入が可能だ。

　とはいえ、国際生が別学級になるのではなく、一般の児童と同じクラスで活動する。日頃から外国からの訪問者と交流する機会も多く、日本語が通じない友だちにも子どもたちは驚かない。互いの異文化を尊重することを学び、グローバルマインドを育んでいる。「キリスト教の理念を基礎にしている影響でしょうか、子どもたちは、人それぞれ違ってあたり前だと知っています。他者を受け入れ、自分も友だちも大事にすることができるのです」と操木（くりき）豊校長は語る。

　国際学級講師の島田かおる先生は「母語が何か、母語を何にするかは各ご家庭によることですが、本校の教育では日本語が使えることをめざします。どの言語も中途半端になってしまう〝ダブルリミテッド〟にならないよう、生活言語と思考言語の状況を保護者と意見交換しながら学習を進めます」と語る。生活面でも子どもが安心できる居場所だ。

宇宙エレベーターロボットに挑戦

　校舎の奥に広がる３万坪の敷地は自然があふれており、晴れの日も雨の日も子どもたちの探求心を刺激する材料にこと欠かない。１・２年生の「森遊び」の授業は中学年以上になると校外へと発展し、例えば多摩川の上流を探ったり、河口まで歩いたりする。

　一方で、2016年は宇宙エレベーターロボット競技会小学生部門に２チームが参加した。

　競技内容はレゴ®で制作したエレベーターロボットで、高さ４メートルの宇宙ステーションまでピンポン球を運ぶこと。子どもたちは夢中になってプログラミングと操作の試行錯誤を繰り返した。「子どもは本来科学が大好き。初めての参加ながら全国大会で5位入賞を果たしました。なによりも子どもたちのあの熱中した時間こそが成果です」と操木校長は語り、オーストラリア・ブリスベンへの語学留学（６年生の希望者対象）についても、ホームステイや現地の小学生との交流は、国際的な環境で過ごしてきた小学校生活の集大成と期待する。