教育目標
目あてをさして進む人・まごころを尽くす人・
からだを丈夫にする人
〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57
Tel:03-3411-5114
http://es.swu.ac.jp/
最寄駅●三軒茶屋駅(東急田園都市線)より徒歩7分
これからの子どもたちに必要な基礎の知識・技能と豊かな感性を小・中・高をつなぐ教育によってさらに伸ばす教育改革が進む。
学習する視点も意欲も高く
2021年11月に創立100周年を祝った昭和女子大学は、渋谷駅からバスで10分の世田谷キャンパス約2万4400坪の敷地に、大学院・大学、そして附属のこども園、小学校、中学校・高等学校がある。
昭和女子大学は海外キャンパス「昭和ボストン」があり、日本にはアメリカの州立テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)を受け入れている。また、オーストラリアと中国の大学とはダブルディグリー・プログラムで交流するなどグローバルな展開をしている。また、外部の大学と連携する数理リテラシー強化や企業や地域と組むプロジェクトなどを組んでキャリア教育を進め、女子大トップの実就職率をあげている。
そこに今、附属昭和小学校と中学校の教育をつなぐ改革が始まっている。
「小学校と中・高の校舎は、私の足でわずか250歩の距離しか離れていません。小学校から中学へ卒業の節目はあっても、学習内容は途切れないように、今、中学校とつないでいくことを推進しています。そうすることで、子どもたちは学習意欲を先へ先へと高めています」と語るのは真下峯子校長。
真下先生は、2020年度から中学校・高等学校に着任し、21年度から小学校の校長を兼任している。
「グローバルに多様な人たちと暮らし、働く時代です。そこには人を理解し、自分を客観視する力、共同して働くマインドやスキル、コミュニケーション力が必要です。」
英語のリスニング時間を5倍に
真下先生が最初に着手したのが英語教育の拡充。
昭和小学校では、22年度から、1・2年生の週2時間の英語に加え、1年生は体育・音楽・図工の3教科において、週2時間の授業のうち1回を専科教員と英語専科教員の二人で行う授業方法を採用する。これで英語に触れる時間が週5時間になる。教員たちは英語で指示や声掛けを行い、教科で使う専門の言葉は英語で発音する。英語を聴かせる時間を増やしながら子どもたちへの目配りも厚くなる、一石二鳥の試みだ。
真下先生は学期末にリーディング、リスニングの習熟度テストを行った。
「子どもたちの実力テストではありません。新しい学習方法が試されるのは学校側です。この取り組みはプロジェクトチームを組んで企画して、実行しました。その評価・分析を行って、不足や問題点の改善を図るのが狙いです。」
ビジネス界で用いられるPDCA(計画・実行・評価・改善のサイクルを回す手法)を教育に応用したという。
成果は上々。PDCA方式は今後も活用し、年間カリキュラムの見直しや行事の実施方法なども検討していくという。
「先生方は常によりよい授業のあり方を考えていますから、プロジェクトチームが動いたことで新しい方法に取り組む力が結集されました。」
真下先生は、改めて昭和小学校の底力を見たという。確かに、英語教育の先駆であり、読書、音楽、図工、ダンスなどに高水準の教育の歴史がある。
自身は生物が専門の理科教員だった真下先生は「文系、理系の資質にかかわらず理数の力が求められる」これからの時代を予測し、STEAM教育にも力を注ぐ。
STEAMはScience,Technology, Engineering,Art,Mathematics の頭文字。外部受験をして巣立っていく男子のためにも、小学校のうちに理系の学問への視点を広げておきたいと考えて、東京理科大学の学生を招いて算数の授業をやってもらう、昭和大学の先生に医療系の講義をしてもらうなど将来を覗いて見る機会をつくった。
「実現したいのは大学院の研究室への一日留学。5・6年生はもう子どもではありません。親も子どもを守ることから手放すことに姿勢を変え、子どもの保護者から自立支援者になるべきというのが私の持論です」と、ユーモアを込めて真下先生は言葉を結んだ。
学びの基本を育む図工科
伝統ある独自カリキュラムの代表格である図工科の学びについて、図工科主任の相原史隆先生に話を聞いた。
図工科は「平面」と「立体」に分けて、それぞれの専科教員が担当し、学年の途中で入れ替わる。日本画が専門の相原先生は平面を受け持っている。
「しっかり見ること、見たものをそのままに絵に描くこと。これを基本として徹底することが、長く引き継がれている指導です。しっかり観察して、見た通りに表現し、人に伝えるためには、描く技能が必要。感性のおもむくままに表現する以前の、基礎的な表現能力を身に付ける、実用的な目的があります。」
それは、学びの原点にある「事象から目をそらさず、しっかり見ること」に通じる。
教室や廊下には一年を通して「総合学習」の発表展示がされている。しっかりとした文字と丁寧な絵や図はすべて1年生から子どもたちの手で作成されている。
学年ごとにテーマを決めて観察・調査・実験などの研究を進め、展示・発表を行う総合学習は、文部科学省が「総合的な学習の時間」を提唱するはるか以前から、昭和小学校で行われてきた学習だ。
交互に進む平面と立体
図工科は平面と立体それぞれに教室があり、子どもたちは一年の半分を平面、半分を立体の学習をする。
立体の授業では、まず粘土を使って形をつくる。どこから見ても丸・三角・四角の立体が基本。大型炉が設備されているので、やがて本格的な陶芸作品を制作する。
平面と立体では子どもたちが順調にステップアップするようにカリキュラムをつくる。
例えば4年生の平面の課題「針金の一筆(ひとふで)書き」は工作に近い。まず対象を写生し、そこから一筆描きに必要な線だけを選んで改めて描く。それができたら針金をラジオペンチで曲げる。教えなくても、子どもたちはペンチをじょうずに使いこなす。
抽象日本画への挑戦
立体の卒業制作は木工で、一枚の板から一人ひとりオリジナルデザインの椅子をつくる。5~6年生での大半をかけて取り組んだ完成作品は、きっと愛用されるだろう。
一方、平面には卒業制作が二つある。一つは抽象日本画。日本画の画材で描く抽象画だ。
図工科では例年、国立近代美術館に行って学芸員のレクチャーを受ける学習がある。これを応用し、教室で一班6人に分かれて、抽象絵画を鑑賞して、受けた印象と描かれているのが何かを思うままに発言する。VTS(visual thinking strategy)という、見て考えて話し合う絵画鑑賞手法だ。
抽象画について理解を深めてから、一人ひとりが抽象画を描く。墨や岩絵の具を用いて自由に描き、タイトルを付けて完成。創造力が花開く。
もう一つは『シクラメンの鉢』の水彩画で、これは40年以上続いている課題。
「私の役割は『よく見る』までです」といいながらも、子どもたちの間を飛び回って、アドバイスをする相原先生。他のこどもたちはそれぞれ自分の絵に集中している。
「6年間を共に過ごした子どもたちの図工科の経験が、見たものを正確にとらえる観察眼と、幅広い感性を育てて、人生を豊かにしてくれたらいいと願います。」
設立年 | 1953年 |
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学制 | 共学 |
系列校 | 昭和女子大学大学院(共学)、昭和女子大学、昭和女子大学附属昭和高等学校・中学校(女子校)、昭和女子大学附属昭和こども園(共学) |
児童数 | 1学年105名(35名×3クラス) |
授業日 | 週5日制 |
学期 | 2学期制 |
転入・編入 | 帰国生入試は随時お問い合わせください |
昼食 | 給食 |
放課後支援 | アフタースクール~19:00(自由遊び/希望者は習いごと) |
初年度費用 | 約120万円(諸経費・給食費含む) |
進路 | 系列校進学女子85% |
学校案内 | 公式ホームページでご案内しています。 |
※上記は2022年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2022年春号」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。
http://es.swu.ac.jp/