教育目標
目あてをさして進む人・まごころを尽くす人・
からだを丈夫にする人
〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57
Tel:03-3411-5114 Fax:03-3411-5356
http://es.swu.ac.jp/
最寄駅●三軒茶屋駅(東急田園都市線)より徒歩7分
図書館は人生のはじまりの場所
こころを育てる、6年間の読書の授業図書館は子どもたちがにぎやかに行きかう交差点。読書の時間の読み聞かせが待ち遠しい子、先生とお話しをしたくてやってくる子、伝記マンガシリーズの棚に直行する子、雑誌の入荷を待ちかねて飛び込んでくる子……。さまざまな角度から読書の楽しさを浸透させていく、昭和小学校の読書教育にスポットライトを当てる。
好きなものを見つける図書館
朝の8時に開館すると、朝礼が始まる前に、図書館に立ち寄る子どもたち。図書館と廊下を挟んで向かい側には1年生の教室が並ぶ。6年生のおにいさんおねえさんと会えるのがうれしい1年生も自然と図書館に足が向く。
昭和小学校では、図書館にかかわる業務を荻野玲子先生と大塚恵先生の二人で担当している。先生と言葉を交わしたくて図書館に立ち寄る子どもたちも多い。
大塚先生はこう話す。「本に囲まれた心地よい場所であれば、本を手に取らなくてもいいのです。いつか自分から本を読みたくなる日が来ます。長い人生のなかでいつ、その時期が来るかは人それぞれです。声をかけて会話が生まれれば、こころが通じます。私は、小学校の6年間を通して本が読めるようになってくれればいいと考えています。これからの人生のはじまりを後押しする図書館でありたいのです」。
図書館には2万冊の本が並ぶ。入り口近くには、最新のニュースに関連する書籍や雑誌、また『鉄道ジャーナル』『エアライン』『バスマガジン』といったマニアックな雑誌もディスプレイされている。日本の歴史、世界の歴史、歴史上の人物の伝記などの学習マンガシリーズは1か所の棚にまとめられている。いずれも本を手に取りやすくする工夫だ。
「マンガでも雑誌でも、活字に触れる機会を増やすことにつながればよいと思います。高学年向けの伝記ものはランダムに読んでいても、そこから別のテーマに波及したりして興味が広がりますし、後々、歴史の学習にも役立ちます。高学年は、興味をもてば大人向けの本も読みこなします」と大塚先生。
図書館では常に新しい本の購入候補もリストアップされている。国語の授業で取り上げられた作品と同じ作者のほかの作品や、総合学習に必要な資料はもとより、分野は多岐に及ぶ。
子どもたちのこころに残っている名作はたとえ低年齢向け絵本でも置いてもいいのではないか、成人向けの文学も内容や表現に留意しながら選書して、子どもたちの関心に応えていこう、などと意見を交わしながら購入しているという。
読み聞かせから感じとる
国語科の時間割のなかに設けられた「読書」の授業は、図書館をベースにほぼ週1回行われる。読書の授業は年間、低学年は24~30時間、高学年は18~23時間ほどあるが、ほぼ毎回、読み聞かせを行っている。
「全体を通して柱に据えているのは〝こころを育てる読書〟です。例年、4月最初の読書の授業は、2年生から6年生まで全クラス、谷川俊太郎作『ともだち』を読み聞かせします。新学期からもっともっと友だちをつくろうねという願いを込めています。読んだ後、本のなかで問いかけているように、子どもたちにも『ともだちってどんな人?』と問いかけます。低学年ですと『〇〇ちゃん』と具体的な名前だったり、『やさしい人』といった回答が主ですが、高学年になると『自分の欠点を指摘してくれる人』といった、本の内容への深い理解が表れます。一冊の本を通して、6年の間に友だちは大切な存在であることに気づき、自分も大切、友だちも大切と考えを広げていきます」と、荻野先生は説明する。
1年生への『ともだち』の読み聞かせは前期の終わりごろに大塚先生が行う。読書の授業はチームティ―チング(TT)に近い形で、荻野先生と大塚先生が一緒に進めている。
読み聞かせの後は必ず、どうだったと子どもたちに問いかける。自分の感情を拾いあげて、それをみんなで共有する。ひとりの感想から、共感や反論が出て、お互いの意見を交換して、考えを深め、自分の考えを発展させていく。
「小林豊作『せかいでいちばんうつくしいぼくの村』を取り上げた時は、自分にとって大切なものは何かを考えると同時に、本の舞台であるアフガニスタンのことを知り、社会に対する眼を開く機会にもなりました」と荻野先生は語る。「6年生最後の読み聞かせに取り上げる、レイフ・クリスチャンソン作『しあわせ』は〝しあわせってなに〟という問いかけが続き、最後に〝自信をもつこと 自分をたいせつにすること そして 自分とおなじくらい ほかの人もたいせつにできること〟と結びます。絵本の短い言葉から汲み取れることは、子どもばかりではなく、おとなになっても広く深いのです」と荻野先生。
さらに、荻野先生は「絵を楽しむことから、紙面の前ページと次ページとのつながりに気づくことが文章の行間を読む感性を養ってくれるのではないかと思います。読書は即効薬ではなくてもゆっくり効き目を表してくるのです」と言う。
6年生が1年生に読み聞かせ
昭和小学校では、1年生と6年生は4月に1対1のパートナーを組む。6年生は朝礼の時に1年生の教室を訪れ、〝目の体操〟や〝黙想〟を一緒に行いながら、方法を指導し、親しくなる。組んだパートナーは1年間変わらず、音楽の授業では鍵盤ハーモニカ演奏の指導を行い、運動会では組になってリレー競技を行うなど、折々に共同学習の機会がある。
「1・6読書」は、6年生がパートナーの1年生に読み聞かせをする、5月から6月にかけて年1回行われる読書の授業だ。
先に図書館に集合した6年生は、本棚から読む本を取り出して、教室へ1年生を迎えに行く。組んだ二人は、図書館か教室の思い思いの場所に陣取り、読み聞かせを開始する。
6年生は考えて本を選び、読む練習をしたり、会話する工夫を考えてこの日に臨む。1冊を読みながら会話がはずんで笑顔がこぼれる組、1冊を読み終わって次の本を選びに本棚に向かう組、シリーズものを揃えて次々と読み進む組とさまざまだ。6年生たちは、実にやさしく、ていねいに1年生の様子を見ながら読み聞かせ、感想を引き出し、読書カードの記入を指導する。
授業の後半は、全員がおはなしコーナーに集まって、荻野先生の読み聞かせになる。6年生と1年生の子どもたちがひしめきあって座り、肩を寄せ合う。
荻野先生が取り上げた1冊、宮西達也作『あしたのぼくは』の読み聞かせでは、6年生の一人がすかさず「ぼくはピーマンがきらい」と本のなかの「ぼく」と同じであることを発言。それをきっかけにいっせいに、ぼくは、わたしはとおおいに盛り上がる。
「6年生は自分が思い入れのある本を選ぶようです。自分でプランを練って1年生を喜ばせようとする様子に成長が見てとれます」と荻野先生。
図書館には、2年生が描いた「1年生へ この本よんでみて」と本を紹介するポスターや4年生の読書新聞が貼り出されている。3年生が、自分のできないことが明日はこうなっている、と絵と文とで表した、手づくりの「あしたのぼくは」も並んでいる。
おにいさんおねえさんの目線から本をすすめるのも、子どもたちが主役の昭和小学校の図書館らしい。
設立年 | 1953年 |
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学制 | 共学(男女比1:6) |
系列校 | 昭和女子大学大学院(共学)、昭和女子大学、昭和女子大学附属昭和高等学校・中学校(女子校)、昭和女子大学附属昭和こども園(共学) |
児童数 | 1学年105名(35名×3クラス) |
教員数 | 39名 |
授業日 | 週5日制 |
学期 | 2学期制 |
昼食 | 給食 |
初年度費用 | 1,036,800円 |
進路 | 系列校進学女子80%、他校進学男子100% |
学校説明会・ 公開学習見学・進学相談会 | 公式ホームページでご案内しています。 |
※上記は2019年7月時点での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。