自分の居場所がある

　行事での活躍、教科の成績、学校とは関係ない個人の受賞も、朝の会などで紹介することが多い。うれしいことは子どもたちも先生たちもみんなで祝福する。認められることは様々にあるので、どの子にも何かで表彰される機会がある。「どの子も学校のなかに自分の居場所がある」ことを、松木先生は実感している。

「目標を定めて取り組み、努力した分だけ評価される。表彰されることは喜びであり、励ましとなって、さらなる努力に向かう後押しをします」。

　努力を続けて得る成功体験の延長線上に受験がある。

　3・4年生になると、子どもたちが助け合って「ともに学ぶ」段階に入る。社会科見学、林間学校、異文化体験と視野を広げ、班ごとに協力して調べ、意見を出し合って考える。

　保護者から中学受験について担任が相談を受けるようになるのも中学年のころだ。松木先生は、小学校の校長に着任する前は隣接する付属中学校・高等学校の副校長だったので、中学受験事情を熟知しているので、「学校訪問で〇〇を見ると、自分に合う志望校を選択する参考になる。」などのアドバイスもしてくれる。

5・6年生は受験準備

　5・6年生になると、算数は習熟度別に4グループに分けて授業を行い、力を付けたら入れ替える。こうすることで個々のレベルがあがる。

　全員が私立や国立の中学校を受験するので、6年生は11月から本格的な受験体制に入る。放課後は週に3回補習の時間を設け、入試問題演習や課題を指導する。外部からも指導者を迎え入れ、また大学生・院生を招いて、最難関校受験の体験に基づく受験に向けたアドバイスを受ける機会もある。

　グループ校の付属中学校・高等学校（男子校）も等々力中学校・高等学校（共学）も大学進学実績の高い進学校だ。小学校からはいずれにも推薦がある。推薦には単願と併願があり、併願で出願すれば、他校受験をして万一不合格となった場合に入学できる安心がある。この恵まれた条件がありながら、グループ校への進学者数は25％前後ともったいないような状況だ。

「私たちは『志望する進路の実現』を進路指導の基本としていますから、一人ひとりの希望が実現するように全力でサポートします。小・中・高12年間じっくりと時間をかけ、将来の目標を決めながら進むことができる環境も捨てがたいと思いますが」。

　いずれの選択もできる余裕が、子どもたちの受験を楽しくしている。