玉川学園小学部

 教育目標  
「きれいな心」「よい頭」「つよい体」

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小学部は全クラスでバイリンガル教育
世界の大学で学ぶための基礎力を身につける教育を実践

玉川学園のBLESクラスは、2020年4月に一期生が5年生になった。一期生は十分な英語力をつけて、来年度からの国際バカロレア(IB)クラスでの学びに向けた準備を整えている。一方で、一般クラスの子供たちも英検3級を確実にする英語力を目指し、バイリンガルへと歩みだそうとしている。

全クラスでバイリンガル教育

 玉川学園では2016年にバイリンガル教育をスタートするにあたり、幼稚部・小学部では基本的に、日本語を母語とする子供たちが、2つ目の言語として英語を学ぶ方針を明確にしてきた。B L E S(BilingualElementary School) クラスはもちろん一般クラスでもIB(International Baccalaureate)クラスのMYP(Middle YearsProgramme)を目指すことができる英語教育の環境を整えている。

 BLESクラスは外国籍の教員から英語科だけではなく、算数科や理科など国語科と社会科を除くすべての教科を英語で学んでいる。これに対して一般クラスでも、英語科以外の一部の授業で英語を取り入れている。玉川学園の英語教育は、玉川大学の推進するELF(Englishas a Lingua Franca)プログラム(※1)に基づいた、共通の母語を持たない人同士のコミュニケーションに使われる国際共通語としての英語力修得を目的に授業を展開している。

 英語到達目標は、BLESクラス5年生に英検2級、一般クラス5年生に英検3級を設定している。今年度、BLESクラスでは、多くの子供たちがこの目標を上回るだろうと、担当教員はいう。

 BLESクラス開設当初、後藤健教育部長は「一般クラスの英語教育もBLESクラスによって引き上げられる」と語っていたが、その通りになった。後藤部長は、小学部の教育が変わりつつあることを実感している。一般クラスの英語の時間を週5時間にして行ってきたELFプログラムによる授業の成果だけではなく、玉川学園に留学してくる様々な国籍の生徒やBLESの教員たちと接することがよい影響を与えている。

 来年度には、一般クラスをJP(Japanese Predominant)クラス、BLESクラスをEP(English Predominant) クラスと改称して、全クラスのバイリンガル教育をより推進する計画という。JPクラスは日本語を優先するが英語を第二言語として身に付ける英語教育。EPクラスは英語で教科を学ぶが国語や日本の歴史、社会、文化も十分に学ぶ教育である。

「1年生では、総合科の時間に思考ツールを使った『学びの技』の学習をしますが、情報の整理や分類は英語で行うことを考えています。3年生以上のプログラミングの授業では子供たちが英語に親しむ機会が増えるでしょう」(後藤部長)。

 また後藤部長は、「バイリンガルは2か国語を十分に使いこなして勉学や仕事ができる語学力を持つことであり、母語以上のものにはなりません。英語を学んでいるどこかの段階で『英語で何かを学びたい』と思ったらIBに進むのもよいし、逆に日本でこそ学びたい分野に関心が向くかもしれません。得意なことは一人ひとり違いますから、英語力にばかり注目することはありません」と言い、一人ひとりにきめ細かく対応する教育を進めることを明らかにしている。

1 世界で英語を使う人の約8割がノンネイティブスピーカーだからこそ、ネイティブスピーカーの英語にこだわらず、国際社会で コミュニケーションできる英語力の修得を目指す。教員の国籍は8か国、中には3か国語以上を操るマルチリンガルの教員もいる。

◇BLESクラスコーディネーター(英語科)
ダミアン・プラット先生(英国籍)

 

BLESクラスの英語科の授業では高い目標を設定し、チャレンジングに取り組む。

IBクラスの授業は生徒・教員を交え、ディスカッション形式で行われる。

実るバイリンガル教育

 BLESプログラムコーディネーターのダミアン・プラット先生は、1992年に初来日して教育関係の仕事に就き、日本の子供の英語教育に関心を持った。その後、母国英国に帰国し、教員資格を取得して、多文化が密接に共存するロンドンの小学校で教員を勤めていたが、2017年再び来日した。プラット先生は滑らかな日本語で話す。

「1・2年生は英語の土台づくり、4・5年生は教科を英語で学ぶ、3年生はその間で橋渡しとなる期間と、私は考えています。英国の小学校と同じ教材を使い、チャレンジングに取り組んでいます。算数科は1年生から英語で授業をします。英国でも算数科は学習指導が困難な科目という認識があります。その科目を英語で指導するので、更に工夫やアレンジが必要です。3年生からは理科の授業も英語で行います。理科の学習で使う特有の単語と知識があるので、実験と観察を増やした授業で、クラス全体が抽象的ではなく、具体的な理解が得られるようにアプローチしています。」

 5年生になったBLESクラスの一期生のほとんどは、2021年度からIBクラスの6年生になる。これまで7~12年生が在校生だったIBクラスにとっても初めての6年生受け入れだ。BLESクラスの英語の授業も受け持つプラット先生は、6年生の教育プログラムをIB教員と一緒に計画している。

「BLESクラスの3年生以上では英国で学ぶ同学年の子供たちと同じ教材を取り入れています。 それによって読解力も付き、初めて見る英文でも怖くない。IBクラスは英語圏の教科書を使いますが、心配はありません。5年生でケンブリッジの英語検定 (PET)を受けてCEFR(※2)での評価も実施します。おそらく全員がCEFRのB1レベルから、それ以上の英語力でIBクラスに進めるでしょう」と、プラット先生の心強い見通しだ。

※2 CEFR(Common European Framework of Reference for Languagesの略称)とは、語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格。B1は、身近な話題について理解し、自分の意思とその理由を簡単に説明できるレベル。

国際共通語が生きる全人教育

 BLESクラスで音楽科、体育科、美術科を教えている3人の先生たちにも話を聞いた。

 3教科はいずれも体全体と五感を使って集中力を高める、子供たちにとっては楽しくもあり充実した時間だ。

 玉川学園の創立から掲げている「全人教育」の理念は、人間形成には真・善・美・聖・健・富の六つの価値を調和的に創造することが教育の理想であるとしている。3教科は、英語で全人教育を実施するうってつけの教科といえるかもしれない。

◇音楽科 ケビン・カーター先生(米国籍

 

 私はもともと『芸術はコミュニケーション』という考えを持っています。音楽にしても美術にしても、体を動かすことにしても、コミュニケーションの一つとして誰もが使います。子供たちとのコミュニケーションも、1・2年生にはゆっくり発音するようにしています。 耳を育てるために、大きい、速い、変な、といろいろな声や音を出してみせて、音の聴き分けに慣れるようにプログラムを組んでいます。日本語(国語)と英語で学ぶバイリンガル教育は音楽の幅を広げます。授業では、英語による課題を少なくとも一つは取り入れ、日本語の教科書に載っている曲や、英語圏の伝統的な曲を取り上げ、英語と日本語の訳詞を用意してバイリンガルで歌うこともあります。音楽科の授業だけではなく、朝、昼、帰りの時間に歌を歌う機会を設けているのも、玉川学園のすばらしいところです。 

◇体育科 カルロス・ペナ先生(米国籍)

 

 2019年度はBLESクラスの3年生の学級副担任も経験したので、子供たちと深く交流できて、楽しく有意義な時間を過ごすことができました。

 授業では、始めに英語で説明しますが、伝わりにくい場合は私が見本を行って見せることができるのでコミュニケーションに困ることはありません。例えば4年生のハードル走の授業は、ハードルを飛び越す動作に合わせて技術的専門用語を使った説明を立て続けに行います。子供たちの動きを見れば、私の英語を理解していることがわかります。周りで見ている時間も含めて、何度も英語を耳にする子供たちは英語も運動も理解が進みます。

 運動が苦手という子供もいますが、「できない」という言葉を言ってほしくない。「挑戦してみる」という精神的な力を身に付けて、続けていればできるようになる経験をしてほしいと思います。

◇美術科 べサニー・ターナー先生(米国籍)

 

 美術専科教員として、BLESクラスの3年生以上を受け持っています。米国では中高一貫校で美術を教えていました。

 玉川学園小学部に来てまず驚いたのは、3年生からカッターナイフを使うこと。3年生の課題はハンコづくりです。できあがったハンコは習字作品に使用しています。

 5年生が、学んだ技術を使って、カッターナイフで絵本『モチモチの木』の切り絵をつくったときは、その高い能力に感動しました。米国では小学生にこんな高いレベルを期待しません。 他にも、様々な道具や素材を使って作品をつくります。テープでカバンをつくったり、紙をくしゃくしゃにして紙コップに合わせてパペットをつくるなど、大人もやりたくなるような楽しい授業です。

 

 バイリンガル教育を掲げる玉川学園には、海外帰国生やインターナショナルスクールからの編入希望者が少なくない。帰国のタイミングに合わせて随時募集を行うローリング入試など、一人ひとりの子どもの状況に対応する柔軟さも玉川学園の魅力の一つだ。

School Data
設立年 1929年
学制 共学(男子4:女子6)
系列校 玉川学園(幼稚部、中学部・高等部)、玉川大学・大学院
児童数

1学年約120名(一般クラス約35名×2クラス、BLESクラス約35名×2クラス)

教職員数 68名(2020年度現在)
学期 1〜5年生:3学期制  6年生:2学期制
昼食 お弁当
初年度費用 一般クラス:1,357,500円  BLESクラス:1,732,500円(2020年度)
進路 系列校進学約90%
学校見学 6月以降実施予定(要予約)詳細が決まり次第、学校HPにてお知らせいたします。
玉川学園展 2月27日(土)・28日(日)*入試相談実施

※上記は2020年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2020春号」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。

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