玉川学園小学部

 教育目標  
「きれいな心」「よい頭」「つよい体」

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8931 Fax:042-739-8929

http://www.tamagawa.jp/academy/
最寄駅●玉川学園前駅(小田急線)より徒歩約10分

日本語と英語の基礎をつくる

バイリンガル教育「BLES」がスタート

2016年度から玉川学園小学部では「BLES」(Bilingual Elementary School)クラスがスタート。
創立以来の教育信条のひとつである、グローバルな視野を持つ国際人の育成がますます推進される。

木々に囲まれた低学年校舎と専用グラウンド

「地球はわれらの故郷なり」小学生から始めるバイリンガル教育

 創立者・小原國芳が理想の教育を掲げた中で生まれた言葉「全人教育」を、教育信条の第一に掲げる玉川学園。子どもたちの「夢」を実現するために、さまざまな体験や教育プログラムを展開し、ほめて、伸ばす教育を実践している。

 61万㎡の広大な敷地の中に、幼稚部から小・中・高・大学・大学院までのすべての施設が揃い、子どもたちは四季折々で移ろう自然の中で、のびのびと自由な学校生活を過ごす。作物を育て、生き物や昆虫と触れ合う時間は、さまざまな発見や体験につながり、自ら考えて解決する力を養っているといえよう。「ホンモノ」に触れる機会をふんだんに用意しているのも玉川学園の特色だ。例えば同校が力を入れている音楽教育では、音楽室にさまざまな楽器を用意し、ホンモノのすばらしさを日常的に体験。感性や探究心を刺激することで、学びへの意欲や積極性を身に付けていく。

 そして、12の教育信条の最後にあげられた「国際教育」は、「地球はわれらの故郷なり」という広い視野のもとに、言葉はもちろん、豊かな国際感覚を養うことを目指している。その教育を具現化して、地球上のあらゆる場所で子どもたちが「夢」を実現する可能性を広げようと、2016年度からスタートしたのが、「BLES(ブレス)」だ。BLESクラスでは授業は国語と社会は日本語、それ以外は日本語と英語で行われる。ネイティブと日本人教員による2人担任制をとり、手厚くフォローする。

 玉川学園中等部・高等部はスイスに本部を置く国際バカロレア機構(IBO)の教育プログラムの認定校であり、現在は7年生(中学1年生)から国際バカロレア(IB)クラスを設け、12年生(高校3年生)までにMYP(Middle Years Programme)、DP(Diploma Programme)を学ぶ。DP資格取得は、国内外トップクラスの大学への進学を可能にするものだ。2007年から導入して既に10年近い実績がある。「幼稚部のBLES︲K、小学部のBLES、そして中・高のIBクラスまで、バイリンガルの一貫教育の道筋ができました」と後藤健教育部長は語る。

1年生の音楽。1年生だけは月齢でクラス分けしている

小学校では日本語の基礎を固めることを大切にする

「グローバルに活躍できる人材を育てるためには、思考や表現スキルの基礎となる言語技術を育成することが欠かせません。小学校でのバイリンガル教育によって国語と英語の両方の言語技術の土台を築きます。とくに低学年は正しい日本語の基礎固めを重視します。国語では漢字の成り立ちから学び、書き取りも音読もしっかり行い、俳句もつくります。それはBLESクラスでも変わりません」(後藤部長)。

 BLESクラスの国語の時間が削られることはなく、英語の時間がプラスされる時間割になっている。週5時間の英語のほか算数や理科の補習もあり、1日7時間目までの授業が基本。「授業の7割が英語なので、自然に英語力が身に付きます。英語での授業のため内容理解が不足しないよう、補習でサポートします。ですから家庭では、むしろ日本語での会話を大切にしていただきたいと思います」(後藤部長)。

後藤健教育部長(K-4)

 体力面の負担も気になるところだが、「入学して1~2カ月もすると学校生活に慣れるようです。就学前も夕方までの保育やさまざまな習い事をしていたという児童がほとんどなので、授業時間の長さを負担に感じている様子はあまりないように見受けます」と後藤部長。実際、BLESクラス終了後に延長教育プログラムに参加する児童もいる。

 延長教育プログラムとは、1〜4年生までの希望者を対象に、正課の授業に対して、プラスアルファで実施する放課後の教育プログラム(有料)。2種類あり、ひとつが「SH(スタディホール)」と呼ばれる専任教員による自学自習のサポート。もうひとつはレゴ®教育、そろばん、英語、音楽、サッカー、水泳、バレエ、チアダンスなど8種類13の講座。そのうちバレエでは、すべて英語で講座を進めている。

 レギュラークラスは2コマ、BLESクラスは7時間目の授業終了後、1コマの受講ができる。

BLESクラスの音楽。体をリズミカルに使って

BLESクラスの英語。
絵本の画面を見ながら会話

体育祭のマスゲームの練習。

校舎内の表記は日本語と英語で

文科省認定カリキュラムで途中のコース変更も可能

 BLESは文部科学省「教育課程特例校」に指定されたカリキュラムである。特色ある教育に実績をもつ玉川学園ならではの、日本の小学校としてのバイリンガル教育だ。

 バイリンガルの授業や英語の時間を多くしていること以外は、レギュラークラスと授業内容や進度はほとんど同じ。入学時に英語力も求めていない。意欲と積極性があれば低学年の間に全体の足並みが揃うと想定される。

 BLESとレギュラークラスのクラス分けは柔軟に行われる。入学後、児童の意欲や適性に合わせてクラスを選択し直すことが可能だ。すでに1学期を終えた時点で、レギュラークラスからBLESクラスへの移動を希望している児童もいるという。「小学生は人間の基本をつくり、生活の基礎を学ぶ時期です。そのため、BLESクラスもレギュラークラスも一緒に過ごす時間を大切にし、行事などは学年全員で一緒に行っています。そういう交流の中で、刺激を受けてBLESクラスで学びたいという児童も出てきたのでしょう」(後藤部長)。

 教員はクラスルームに常駐し、休み時間も昼食時も児童とともに過ごすのが、玉川学園小学部のクラス運営のスタイルだが、ネイティブ教員たちはそんな日本の教育現場にも適応している。「遠慮せずにラウンジで休憩するように奨めていますが、先生たちは熱心で、クラスの児童はもちろんレギュラークラスの児童とも盛んにコミュニケーションしています」(後藤部長)。

次は算数!楽しそうに教室を移動する児童たち

5年生で英検準2~2級レベル到達が目標

 同校では2020年からMYPのスタートを現在の7年生(中1)から6年生に早める計画だ。それに向けてBLESでバイリンガルの基礎を固める時期を5年生とし、英検準2~2級レベルを目指す。「英語力がさほど高くない状態で入学した児童も、これからどんどん聞く力が伸びていきます。2~3年生になると、今度は話す力が追い付いてくるでしょう。1年生のうちは、英語を勉強しているというよりは、先生とコミュニケーションをとるために英語を使っているという感覚なのです。学年が進むほど、語彙力の差に引け目を感じたり、英語を使うことへの照れが芽生えてしまうもの。英語をツールとして自然に使いこなせるのも、1年生からスタートする大きなメリットです」(後藤部長)。

 本格的なバイリンガルクラスの登場ということで、同校へは多くの問い合わせが寄せられる一方で、レギュラークラスの受験者数も増加している。2016年度の入試倍率はBLESクラス、レギュラークラスともほぼ同じだった。

 日本人としての教育の中でバイリンガル教育が受けられる点に魅力を感じている家庭の関心が高い。BLESが加わったことで、小学部全体の国際性が高まり、全児童が英語に親しむ機会を増やす成果も期待される。

 費用はレギュラークラスに比べてBLESクラスはやや割高となるが、放課後に英語を本格的に習わせるのと比べれば、さほど費用は変わらないはずだ。その分、手厚いバイリンガル教育を受けられるのであればメリットは大きいといえる。「自分から積極的に学ぼう、英語でコミュニケーションを取りたいという児童は、将来の成長力に期待できます。大切なのは、お子さんの適性や興味をしっかりと見極めていただくことだと思います」(後藤部長)

School Data
設立年 1929年
学制 共学(男子4:女子6)
系列校 玉川学園(幼稚部、中学部・高等部)、玉川大学・大学院
児童数 1学年約120名(約30名×4クラス)
教職員数 62名(2016年度現在)
学期 1〜4年生:3学期制
5・6年生:2学期制
昼食 お弁当
初年度費用
(2016年度)
一般クラス:1,334,000円
BLESクラス:1,681,000円
進路 系列校進学85%
学校見学 月・水・金 10:30〜11:30(要予約)

※上記は2017年1月時点(冊子「スクールダイヤモンド2017年新春号」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。

アーカイブ