成蹊小学校

 教育理念  

個性の尊重・品性の陶冶・勤労の実践・師弟の心の共鳴・自奮自発の精神の涵養

 

〒180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3-3-1
Tel:0422-37-3839 Fax:0422-37-3861
http://elementary.seikei.ac.jp/
最寄駅●吉祥寺駅(JR中央線・総武線〈東京メトロ東西線〉、京王井の頭線) より徒歩約15分、バスで約5分

先生や上級生、地域に見守られながら
好きなこと、やりたいことをみつけ
個性の芽を出し、伸びていく子どもたち

荻野雅校長

ゆっくりと寄り添い個性を見極める

 古きよき文化と緑豊かな自然が共存する武蔵野の地で、子どもたちの個性を大切にし、心を育てる教育を実践している成蹊小学校。けやき並木のある広いキャンパスには、松林や400m競技場・ラグビー場、大学や中高の校舎がそろい、のびのびと遊び、じっくりと学ぶ施設と環境がととのっている。

 校長の荻野雅先生は、子どもたちを育てるうえで大切にしているのは、一人ひとりの個性を見きわめ、伸ばすことだと話す。

 「まず、子どもの個性をしっかりと見きわめることが肝心です。個性とは、子どもの主張や言い分ではなく、何かに没頭したり、夢中になったり、生き生きと取り組んだりする瞬間のことをさします。創立者の中村春二が残した『師弟同行』という言葉どおり、教室やグラウンド、行事など、あらゆる場面で教員が子どもと行動をともにし、見守っています。その子どもが何に興味があり、何に向いているかを観察し、見つけ、把握することで初めて、個性を伸ばすことができるのです」。

 学校行事は、得意分野や長所を見つける絶好の機会だ。「行事の成蹊」といわれるほど、新入生を迎える会にはじまり、春秋の遠足、運動会、七夕集会、水泳大会、文化祭、やきいも大会、音楽会、マラソン大会、ドッジボール大会(1〜3年生)、スポーツ大会(4〜6年生)、6年生を送る会など、年間を通して多彩な行事が行われている。

 なかでも、学年ごとに2泊から5泊の日程で、箱根や南房総などで共同生活を送る「夏の学校」は、心身を鍛える大切な場だ。1年生から少しずつ準備を重ね、5年生では標高2000m以上の登山に、6年生では2㎞の遠泳に挑戦する。

 「きつく辛い場面では、子どもたち本来の姿や本音が出るものです。そんな姿を間近で感じとり、長所を見つけ伸ばし、短所があれば乗り越えられるよう手助けするのが教員の役割です。一貫教育の中で、子どもはゆっくりと成長していきます。芽が出て、個性がのびる時期は人それぞれです。あわてずゆっくり、その時を待ち、見守っています」。
 

魔法のことば「いいね」で後押しする

 それぞれの個性を見きわめたら、後押しすることも大切だ。「いいね」「すばらしいね」は、魔法のことばで、特に目標の定まらない子、迷っている子を励ます。タイミングよく声かけをすることで、子どもたちの目は輝き、生き生きとし、楽しそうにものごとに向かっていく。

 一枚の絵をほめられた児童は、それから毎日絵を描き続け、クラスメートに推薦されて文化祭の背景を描くまでに上達した。探究学習でペットボトルのロケットづくりにのめり込んだ児童は、大学でロケット工学を専攻することを決めたという。

 「自分はこれをやりたい、調べたいという気持ちを見つけ、認め、後押しし、全力で応援しています。一つのことに集中することは、周りの状況に左右されない集中力や心の強さ、やりぬく力を養うことにつながります。こうした経験は、大人になっても大きな支えになります」。

 活動する場所や時間が増えるほど、子どもどうしの摩擦やぶつかりあい、失敗や悔しい思いも多くなる。こうした体験もすべて、生きていくうえで必要な学びだ。だからこそ、子どもたちの健やかな成長を長い目で見守っているという。

創立当初から続く日記指導

制約のない日記で信頼関係をつくる

 創立当初から続く日記指導は、子どもたちが毎日の生活で思ったこと、感じたこと、反省したことなどを綴っていく。

 教員は、あえて誤字脱字を直さず、心の動き、気持ちに寄り添い、書いた子どもの気持ちに応えるよう、慎重にことばを選んでコメントを返す。

 制限がなく、何でも自由に書いていいという安心感の中、教員に心を開き、思いや気持ちをことばや絵で表現し、伝える。心の中を文字にすることで、今までの自分を振り返り、ときには自分を励まし、新しい一歩を踏み出す力を生み出している。

 「日記は、作文や読書感想文を書く力が身につくだけでなく、先生と児童の絆を深める大切な機会でもあります。先生を信頼しているからこそ、本当の気持ちを書けるのです。家族には言えないことも、安心して書くことができます。保護者の方々にも、そういった日記の意義を理解いただき、やさしく見守ってもらっています」。

校内着で元気いっぱい過ごす子どもたち

ワンキャンパスを生かした成蹊の学び

 小学生は登校すると、制服から動きやすい校内着に着替える。

 休み時間には、小学生用のトンネル山の遊具や土のポプラグラウンドでかけっこをしたり、ビオトープでかえるを探したりして、元気いっぱい遊ぶ。

 遊びから学びの時間へスイッチを切り替える伝統の「凝念」は、心を落ち着け、次の作業に頭を切り替えるための精神集中法だ。鐘の音に合わせて、足を地につけ、背筋を伸ばし、両手を組み、心の力をおへその下の丹田にためる。朝の会や授業、給食の始めなどに行っている。

 成蹊学園の大きな魅力の一つは、小学生から大学生までがワンキャンパスに集い、自然豊かな環境で世代を超えた交流の場が多いことだ。

 大学生は英語の授業をTAとしてサポートし、水泳やラグビーを教える。高校生が6年生の夏の学校で、遠泳の師範助手として参加することもある。

 学園の自然に関する環境活動を行う「けやき循環プロジェクト」では、落ち葉の堆肥づくりや焼きいも大会などのイベントに、保護者や上級生、卒業生や地域の人たちが大勢駆けつけてくれ、多様な世代や価値観と接する機会になっている。

 

凝念で集中力を高める

けやき循環プロジェクトでは多様な世代と交流

学校と保護者のあつい信頼関係

 小学校のオープンスクールでは、保護者が学校案内を務め、学校生活について、来校者からの質問に答えている。学校と父母間のあつい連携と信頼関係がうかがえる。

 「卒業後の集まりに、当時の日記や学級通信を製本して持参する子がいます。卒業生が家庭を持ち、わが子を入学させるケースもあります。ここは、長く深く付き合える友人や先生に出会える、心のよりどころになっています。教員と家族、上級生や卒業生、地域の人々にやさしく見守られ、人生の基盤をつくる、しあわせな6年間となります」。

School Data
設立年 1915年
学制 共学(男子1:女子1)
系列校 成蹊学園(成蹊大学、成蹊中学・高等学校)
児童数 1学年112~128名
授業日 週5日制
学期 3学期制
昼食 給食
初年度費用 1,415,840円
転入・編入 HPで案内
進路 ほとんどの児童が成蹊中学校へ進学
学校案内 公式ホームページでご確認ください

※上記は2024年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2024」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。
http://elementary.seikei.ac.jp/

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