基礎をつくる国語と算数

　２０２０年の文部科学省学習指導要領全面実施を踏まえて、私立小学校は先行して英語や情報の授業を強化している。川村小学校でも、英語の授業時間数を、これまでの１～６年生週２時間から、３年生以上は週３時間にふやした。また、現在40台のタブレット型コンピュータiPad を授業で利用している。

「英語やコンピュータは小学校では入り口を開くことが役割だと思います。ネイティブの英語を耳にし、英語を声に出して言ったりする経験をもつことで、先に行ってからしり込みせずに勉強に取り組めます。iPadを使い慣れていれば、本格的なプログラミングの学習が始まる時に抵抗なく開始できます」と村田町子副校長は考えている。「プログラミング教育も論理的な思考を積み上げて組み立てるものですから、思考力とそれを表現できる基礎がなければ高度な学習には進めません。国語と算数の基礎学力が大切です」。

　国語は、朝10分間の読書と、字をきれいに書くことに力を入れている。「字は体を表すといいます。低学年のうちから筆順や字形など従来の知識や技能をきちんと押さえます。たとえば〝木は動かないからハネない、手は動くからハネる〟などという話をして覚えます」。基本を押さえたうえでプレゼンテーションやディベートにも取り組むという。

　算数は、１～３年生はクラスを半分に分けて少数指導を行う。４～６年生には週２回、放課後に算数セミナーも設けている。このセミナーは内部進学希望者が対象で、中・高の校舎で、中学校の教員にも指導を受ける。各学年ともほぼ半数以上が受講している。また、算数の少人数補習も随時行っている。

　川村学園では、学習面以外でも常に子どもの状態を案じ、助けを必要とする子どもはもちろん、本人も家庭も気づいていない危険に注意を払う。「やってはいけないことをしたり、うそをついたりということは、小学生時代ならば心配することではありません。それは気づきの機会なので、本人が自覚して気づくことはとても価値があります。そこを乗り越えて強くなるからです」と村田副校長は言う。この言葉は、学校はさまざまな学習や活動の機会を提供してくれる場であると同時に、人間として正しく生きることを教えてくれる場であることを示している。