国立音楽大学附属小学校

 教育理念  
豊かな知性・感性を土台とする人間形成

〒186-0005 東京都国立市西1-15-12
TEL:042-572-3531 FAX:042-576-5730
http://www.onsho.ed.jp/
最寄駅●国立駅(JR中央線)より徒歩13分、同南口バス停(1)よりバス3分・矢川駅(JR南武線)よりバス5分「音高」下車5分

どんなときも音楽がある環境は

言葉による表現においても

心を、体を、頭を、自由に躍動させる

算数の授業

子どもたちの出した式

4×3+2×2=16
4×5-4=16
5×2+3×3=16
3×4+4=16
4×4=16

数式と言葉で考える

 日本で唯一の音楽大学附属の小学校として、音楽のあふれる環境に恵まれている。音楽の素養が成長のベースになるように、気持ちや考えを伝える「言葉」も、正確に身につけて豊かに活用することは「生きる力」として不可欠なこととして、小学校では言葉の学習のさまざまな取り組みを行っている。

 見学した2年生の算数の授業では、数の数え方を式と言葉の両方で考えていた。タブレットのロイロノートを開き、全部で16個の丸い玉の数を式で表そうとしていた。一つの式が発表されると、それを巡って子どもたちが口々に「わかった」と手をあげて、どういう順序で考えたかを話しだす。5人の子どもが考えた五つの式を言葉に転換することができた。

 ここに至るまでクラスはとてもにぎやかで、発言している途中で言葉に詰まると誰かが助け船を出したり、発言者の方から頼りになる説明役を指名したりして、教室の空気は和気あいあい。自分の考えと相手の意見を伝え合うコミュニケーションが、算数の時間を楽しいものにしている。

 数を数える言葉には「一つに6個ずつ入っていたら全部で何個?」の〈ずつ〉や「一人増えたらあと何枚必要?」の〈あと〉といった、答を出すカギとなる言葉がある。子どもたちは算数には式という言葉があることを知り、言葉で算数を考え、また、算数の考え方から言葉を学ぶ。

三宅島から学ぶ環境の異なる地域の生き方

 4年生の社会科は東京都の地理的環境の特色、地域の人々の健康と生活環境を支える働きなどについて、人々の生活との関連を踏まえて学習を進めていく。見学した学級では、1学期の「水はどこから」の単元でダム建設のために湖底に沈んだ村を取り上げ、「もし自分が小河内村の住民だったら、ダム建設に賛成するか」をみんなで考えた。2学期の「ごみはどこへ」の単元で最終処分場がある日の出町を取り上げ、「もし自分が日の出町の住民だったら、処分場建設に賛成するか」を考えた。

社会の授

 3学期の単元「東京都の特色ある地域の様子」では、「三宅島」から島のくらしを考えた。この学級の担任である小野田高士先生は、授業をするにあたって自分の目で現地を見てくることを実施すべく、二度三宅島へ足を運んだ。

 ホテルを経営する人、島レモンの栽培に挑戦する人、東京都心から移住して農業をする人、三宅高校の音楽教師をしている教え子といった様々な島の人たちと触れ合った。その時撮影した画像や動画は資料として授業で活用した。画像や動画以外にも統計資料なども参考にしながら、子どもたちは教員の経験を追体験する形で三宅島の学習を深めていった。

 授業後には子どもたちの感想をロイロノートで集め、子どもたち同士で共有した。自分と似た考えの人、異なる考えをもっている人、様々な視点に刺激を受ける。自分とは違う考えに触れ「なるほど」とつぶやく姿も見られた。

 なかでも子どもたちが心を揺さぶられたのはお煎餅屋さんを営む平松さん一家を取り上げた授業だった。2000年に三宅島雄山が噴火。全島避難が決定された。平松さん一家は国立市泉団地に避難した。自分たちの生活している地域に、三宅島から来て避難生活を送っている人がいたことを知り、ぐっと身近な事象になった。「全島避難が解除された後、平松さんは三宅島に戻る決断をしました。あなたはこの決断をどう思いますか」という問いに子どもたちは向き合った。「火山がまた噴火するかもしれないから自分だったら戻らない」、「慣れ親しんだ故郷に戻ったのはいいことだと思う」などの感想があがった。三宅島を愛し大切にくらす人々の生き方に触れて、自分の近くにある自然やコミュニティを改めて大事に思い、他者理解を深めた学習だった。

 

国語の授業

音楽フェスティバル

書くこと、話すことを大事に

「子どもたちはたくさんの文章を書きます。日記は1年生から六年間、担任が読んでコメントを添えて返します。また、様々な行事の後には作文を書くことも多くあります」と、家城直子先生は話す。「書くことは、自分の気持ちを言葉にすることであり、生活や活動を振り返ることです」

 作文は原稿用紙一枚から始まり、1年生も4月は紙の半分で終わっていたものが秋には一枚では足りなくなる。作文は授業で作者が朗読してみんなで話し合う教材に使うことも多い。一年分を手づくりで綴じて「一枚文集」としてまとめることもある。

 年2回、学校文集『おたまじゃくし』も発行する。順繰りに掲載して全員が、六年間で必ず一回は掲載される編成になる、別名「文字のアルバム」だ。

 家城先生の5年生の国語の授業は時間を目いっぱい使って充実した内容が展開する。まず、物語を5~6分間、先生が読み聞かせ。区切りのいいところで「つづく」と言うと、子どもたちからは「もっと、もっと」コールが上がる。次は文章を読み上げ、読まれた単語を漢字書き取り。タブレットを開いて、物語の読みとりを共有し、討論。教科書を開いて、全員で声をそろえて朗読……多面的に言葉の世界が繰り広げられる。

「読み聞かせは、心を開放してくれます。物語の世界に遊んでほしい。漢字の書き取りは語彙を広げることにも繋がります。タブレットを使った意見交流は発言が少ない子どもの考えをみんなが知るよい機会にもなります」

 音楽、リトミック、コーラス、器楽と多彩な授業から音楽性を身につけていくように、あらゆる場面で言葉を学んでいくことで、正確に豊富な言葉を身につけて、創造・表現・コミュニケーションの力を育成している。

School Data
設立年 1953年
学制

共学(男女比1:2)

系列校 国立音楽大学・同大学院、国立音楽大学附属高等学校、国立音楽大学附属中学校、国立音楽大学附属幼稚園
児童数 289名(2022年度)
授業日

週5日制

学期 3学期制
昼食 お弁当(お弁当注文システムあり)
放課後支援 くにおんアカデミー ジュニア、ミュージック・アトリエ
初年度費用 945,000円(2021年度入学者)
転入・編入 欠員時/年2回実施
進路 系列校進学50~60%
学校説明会 6月25日(日)、7月22日(土)、9月10日(日)
プレスクール・体験 5月21日(日)、7月22日(土)、運動会9月30日(土)、1月21日(日)陶芸教室
平日放課後学校見学・個別相談 ※要事前申し込み  詳細はホームページをご覧ください。

※上記は2023年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2023年」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。

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