教育理念
豊かな知性・感性を土台とする人間形成
〒186-0005 東京都国立市西1-15-12
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最寄駅●国立駅(JR中央線)より徒歩13分、同南口バス停(1)よりバス3分「音高」下車5分
矢川駅(JR南武線)よりバス5分「音高」下車5分
音楽を学びのエンジンとして未来を拓く子どもたちが世界へはばたく
優れた音楽環境で、子どもたちは音楽教育法リトミックによる運動能力や集中力、記憶力、判断力などを養う学校生活を送っている。
豊かな音楽環境でスタート
「秋の夕日に照る山紅葉〜」安定したハーモニーと華麗なピアノ伴奏が奏でる音楽が教室を包む。
国立音楽大学附属小学校、通称音小(おんしょう)の音楽の授業は、音楽、リトミック、コーラス、器楽に分かれて授業が行われる。1年生の音楽の授業では歌を中心としながら、音楽遊びやリズム活動を多く取り入れた活動を行っている。
入学前に音楽経験がまったくなくても心配ない。「言葉も身体も音楽の表現に通じます。音楽で養われる感性は、目には見えない学力として必要です」と、千木良康志校長は言う。
「音小には優れた音楽環境があり、それが人間形成に役立っていることは確かです。けれど、本校は音楽家を育てるところではなく、豊かな感性を育てることを柱として、多彩な音楽の授業を行っているのです」。
5・6年生は週1で器楽の授業があり、「合わせる楽しさ」を感じられるような授業が展開される。楽器庫には多種多様な楽器が豊富に揃えられており、音楽づくりの活動では、楽器を選ぶところから子どもたちで考える時もある。
見学した器楽の授業の発表会は、テーマが「インターロッキングの音楽をつくろう」というもので、グループに分かれて四つの作品を創った。作品にはそれぞれ「ヨルノガッコウ」「トルコアイス」「慌ただしい朝」「学校生活」と題名が付けられ、子どもたちの豊かな創造力が発揮された発表会であった。
リトミックは学力の土台
リトミックは、スイスの作曲家、エミール・ジャック・ダルクローズが考案した音楽教育法で、音や音楽に合わせて身体表現をするもので音楽の能力と共に運動能力や集中力、記憶力、判断力などの力が養われるのだが、自己表現にとどまらない総合的な教育法である。
そしてこのリトミックは、附属の幼稚園から高校までカリキュラムに組まれており、大学には専門的に学べるコースがある。
小学校創立に携わった「窓ぎわのトットちゃん」でも知られる小林宗作(そうさく)先生が、欧州留学中にダルクローズに学んだリトミックをカリキュラムに導入した。
音や音楽を聴き、感じた身体が反応して動くこと、音の高低や音色、和音や音程などを聴いたり歌ったりすることで聴力が鋭くなること、一人であるいは数人で思いや考えを即興で音楽表現を創り出すこと。この三つの要素の相互作用に加えて、音小では友だちとコミュニケーションを取りながら活動することを大切にする。
低学年は音や音楽をよく聴いて身体で反応し、経験していくなかで、強さや速さなど音楽を形づくる要素を少しずつ学習する。
中学年は音楽や身体機能の知識を学び、他教科の学習に応用する活動も増える。
高学年になると楽曲や音楽の諸要素を分析して表現するようになる。また、個人あるいはグループでの創作活動が多くなる。
6年生の発表会を見学した。21年度のテーマ「見える音楽」をリトミックで表現する。グループごとに曲を選び、演奏を選び、身体を動かしながら考え、話し合い、ときにはぶつかりながら、一つの表現を作品として創り出す。
子どもたちの動きは一見ばらばらなのだが全体的に調和が取れている。互いに表現の自由を受け止めて尊重し合っている。どのグループのリトミックも独創性が光る。「すごーい!」「かわいいッ」と賞賛する子どもたち。先生たちも笑顔で6年間の集大成を見守る。
英語、ICT、造形も重視
国語や算数の授業にも、豊かな音楽環境が影響を与えているようだ。授業中も「感じたこと、思ったこと」をためらわずに発言する。文章も素直でわかりやすい表現を用いており、年3回、作文集を制作している。算数では、タブレットを使って問題づくりをし、みんなで共有して解くなど遊びの要素を自分たちでつくる。社会や理科では、一人のユニークな発想をクラス全体で取り上げて、賑やかで楽しい授業が展開されることが多い。
英語は、1年生が週1、2年生以上は週2の授業。低学年では言葉をリズムに乗せて発音する歌遊びで、なめらかな発音やイントネーションを聴き取る。おかげで、語数は少なくとも会話に積極的に加わるようになる。
「タブレットは、5・6年生が先行して開始しました。22年度からは全学年一人1台で活用しています。できるだけ利用制限を少なくし、規範を守らせるだけではなく、活用しながら正しい操作をしているか、正しい発信をしているかを自分で判断できる力を身に付けさせて、自由に使いこなせるようにしていきたいと考えています」と、音小は、 デジタルシチズンシップ教育に力を入れている。
6年生は順番で一人ずつ、スピーチをする。好きなもの、紹介したい人、あるいは自由にテーマを決めて、独力で内容を考える。プレゼンテーションの準備をするときもタブレットは欠かせない。BGMを付けたり、発表後に質問が来て急いで調べごとをしたりと、リトミック仕込みの即興性と積極性を発揮する。
感性を育てる学びの一方に、造形科がある。
各学年で立体・平面・焼き物の三作品を制作し、毎年校内に展示する造形作品展を12月に開催している。コロナ禍の今はホームページ上に『Webdeアート』のページも公開している。
造形科と音楽科のコラボレーションもあり、コロナ禍の卒業制作でピアノに花型模様をペイントしたペイントピアノは昇降口脇の「みんなのラウンジ」に設置されている。
行事の実施が難しいなかでも、東京都教育委員会の夢未来プロジェクトに申し込み、陸上短距離のオリンピアン、高平慎士氏を招いて講演と5 ・6年生の陸上教室を開くこともできた。多方面の専門家の力が子どもたちに刺激を与えてくれる。
芸術性高い校舎と設備
音小の校舎は格調高いモダン建築。設計者は昭和を代表する建築家前川國男氏で、国立音楽大学講堂に続き、小学校校舎は1985年に竣工した。
窓が大きい教室、広い廊下、随所に設けられたゆとりのスペース、中庭に隣接する低学年教室など子どもたちの豊かな学びにふさわしい環境がつくられている。
教室の学習机とイスも、校内に配置されたテーブルやベンチも特注されたもので明るく楽しい雰囲気をつくっている。
図書室も子どもたちが大好きな場所の一つ。畳敷きの読み聞かせコーナーではリラックスして本を読むことができる。
校舎の3階には、大学のレッスン室と同等の設備をもつレッスン室が11室整備されており、希望する児童は、週1〜2回、放課後の時間に「くにおんアカデミー ジュニア ミュージック・アトリエ」のレッスンを受講することができるプログラムもある。ピアノ、ヴァイオリン、フルート、クラリネット、打楽器、ソルフェージュのいずれかを選択し、専門の講師から指導を受けることができる。
「音小に入って初めてピアノに触れた男の子で、みんながやっているからと1年生から放課後レッスンを受けた子が、卒業音楽発表会で立派に演奏したことがありました。『6年間、週1回のレッスンを続けたから楽しんで弾けるようになりました』と話しました。スポーツが得意な子でしたが、音楽はこれからも彼の人生の助けになると思います」。
音楽を楽しむ感性は、どんな時代にも人の心を支える。音小の卒業生には、自分にとって本当に大切なものは何かを自らに問い、答えを出せる大人になってほしいと、千木良先生は願っている。
設立年 | 1953年 |
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学制 | 共学(男女比1:2) |
系列校 | 国立音楽大学・同大学院、国立音楽大学附属高等学校、国立音楽大学附属中学校、国立音楽大学附属幼稚園 |
児童数 | 289名(2022年度) |
授業日 | 週5日制 |
学期 | 3学期制 |
転入・編入 | 欠員時/年2回実施 |
昼食 | お弁当(お弁当注文システムあり) |
放課後支援 | くにおんアカデミー ジュニア、ミュージック・アトリエ |
初年度費用 | 945,000円(2021年度入学者) |
進路 | 系列校進学50~60% |
学校説明会・プレスクール | 5月22日(日)、9月11日(日) |
学校説明会・公開授業 | 6月21日(火)、9月中旬 |
プレスクール | 7月23日(土) 詳細は学校HP参照 |
※上記は2022年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2022年春号」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。
http://www.onsho.ed.jp/