学力を伸ばす音楽の力

　1クラス平均22名の少人数授業で、一人ひとりが友だちと学び合う中で、自分の得意なことだけでなく課題も見つけて力を伸ばしていく。

　音楽科の授業は、音楽・コーラス・リトミック・器楽に分かれている。リトミックはスイスの作曲家エミール・ジャック＝ダルクローズによる音楽と身体の動きを結びつけた総合的な音楽教育法。子どもたちはピアノ等のリズムに合わせて躍動する。こうした身体全体での音楽体験が豊かな自己音楽表現につながっていく。

　英語科では、英語の歌を使った遊びを通して子どもの豊かな成長と発達を支援する教育法E T M（Education ThroughMusic）を取り入れ、リスニング力を高めるとともに英語特有の音節感覚を身に付けられるようにしている。

　造形科とは音楽科と同じようなテーマで表現活動を行うことがある。造形は、個性が前面に出るので創造性や感性など音楽と共鳴するところがある。「造形の答えは一つじゃないんだよ」と子どもたちに声をかけ、自由に自分自身を表現し、友だちの作品を認め合う授業を展開している。

　多彩な学習内容とみんなが力を合わせてチャレンジする造形作品展などの体験が、バランスのよい成長につながっている。

明日を拓くペイントピアノ

　2020年度の6年生は、10月の宿泊行事「山の学校」が実施できなかった代わりに、「音小のゆうべ」を開催した。卒業制作は「ペイントピアノ」。6色の学年カラーで花型模様をペイントした。6年間の集大成にふさわしい、音楽科と造形科のコラボレーションとなった。このペイントピアノを音小の子どもたちが校内で自由に弾くように、学園都市、国立の街中で大勢の人がこのピアノを弾くきっかけにしようという、音小育ちの子どもたちの心のふるさとにふさわしい計画もある。

　附属中学校は、音楽コース（音楽準備プログラム・音楽実技プログラム）と文理コース（総合プログラム・特別選抜プログラム）があり、入学後のコース変更や主楽器変更が可能。節目の時に改めて進路を選択できるフレキシブルな教育体制には、じっくり考えて将来を選択する時間と自由がある。

「私は学生時代にスポーツ選手を目指していました。夢はかないませんでしたが、見る側や支える側に回り、今も様々な形でスポーツに関わって楽しんでいます。演奏家と優れた聴き手、演奏会を支える人たちの関係との共通性を感じます」と千木良先生。

　音楽のもつ力や音楽が支える学力を基盤とした環境で育った音小の子どもたちが、来るべき未来を拓く存在となるだろう。