プログラミングは考える力

　小学校のプログラミング教育と英語教育の強化が進む以前から、相模女子大学小学部はその意義を理解したうえで、積極的に取り組んでいる。

「プログラミングは、コンピュータに何かをさせるためにプログラムをつくることですから、考えるのは人間です。こうしたらいいかな、こっちの方法もあるな、と目的を達成する方法を組み立てて、コンピュータに指示する。プログラミング教育とは、あれこれ考えるくせをつけ、人にわかるように示す論理的思考力を育む教育なのです」と話すのは川原田康文校長。

　小学部のプログラミング教育は２０１７年度に１年生からスタートした。ロボットキット教材を使ってロボットをつくり、そのロボットを動かすプログラミングを行い、実際に動かしてみる。センサーを使うこともあるし、使わないこともある。例えば目的地まで移動するという課題だったら、自分のロボットにできることは何か、目的地への道のりはどうするかなどを考えて、プログラミングを行う。エラーが出たら原因を考え、問題解決を図る。

「そこに予め決まった答えはありません。自分で考えて答えを導き出します。こうして論理的思考力が身に付いていきます。論理的思考力は、さまざまな活動を進めるうえで、あるいは思い通りにならなかった場合でも、今、自分ができることを考えて行動する力になります」（川原田校長）。

　プログラミングの時間をカリキュラムの中で独立させ、高学年はチームで取り組む。そこには、国語、算数、理科、社会、図工、音楽そして英語も関係する。経済産業省では教科横断的なＳ Ｔ Ｅ Ａ Ｍ 教育（Science,Technology, Engineering, Art,Mathematics）の推進を求めているが、それにRobotics を加えたＳＴＲＥＡＭ教育が世界的傾向と川原田校長は感じている。「未来はＡＩおよびデジタル機器と無縁ではあり得ず、子どもたちが自分から学び、行動を起こす力を高めていくのが教育の役割」と言う。