教育目標
正直なよい子の育成
〒183-8531 東京都府中市栄町1-1 Tel 042-368-5119
http://www.meisei.ac.jp/es/
最寄駅●国分寺駅(JR中央線・西武国分寺線・多摩湖線)より京王バスで「明星学苑」下車(約7分)、府中駅(京王線)より京王バスで「明星学苑」下車(約7分)、北府中駅(JR武蔵野線)より徒歩15分
明星の「チーム学校力」が引っ張る子どもたちの成長
盛んな教科研究と指導で力を付ける
明星学苑は、幼・小・中・高が一貫して、体と心と知力を育てる教育に取り組んでいる。「教育の明星大学」として知られる学苑の大学教育学部との研究や人的交流の連携が一貫教育を支えている。学苑の95年の歴史と伝統、その長所を踏まえたうえで、前進する明星小学校の教育を、2018年度から小学校校長に就任した細水保宏校長が語る。
体験のなかで心と体を育てる
明星小学校には69年の歴史があり、体験教育と心の教育の伝統を受け継いできました。たとえば姿勢を整えて黙想する「凝念」は創立以来続いている伝統ですが、これは静かにするための習慣ではありません。心の内で物事の始めと終わりを明確にし、次に取り組む集中力を高めるものです。凝念の中身を理解して行うことで伝統は守られます。こうしたことを受け継ぎながら、私たち教員は次の伝統をつくっていきます。
明星小学校は「健康・真面目・努力」を校訓に掲げ、「正直なよい子の育成」を教育目標としています。私たちは、そこに「知力の育成」をプラスしていきます。と言っても、受験に強い学校にしようということではありません。生きる力と、良識と実践力のある心身を育てることを目的に教育を行います。
将来自分の力を十分発揮できるだけの生きて働く学力を付けることが重要です。基礎学力によって子どもたちの好奇心が呼び覚まされ、これが学ぶ意欲を引き出すきっかけになります。子どもたちに夢を持とうと思う機会をたくさん提供し、抱いた夢を叶える力を育成する。そのために「一人ひとりを手塩にかけて育てる」のが、明星の教育です。
まず掲げた目標は、①理数の強化と②英語の強化の2つです。理科と算数、そして英語はどこにも負けない力をつける。それには、教科を好きになることが不可欠です。そのためのプランを具体的にカリキュラムに導入しました。低学年時には、遊びの要素を取り入れながら、能動的に興味を持つように導きます。
1・2年生では理科に相当するのは生活科ですが、明星では「低学年理科」と呼んでいます。ここで体験を通じて、いわば遊びながら「なぜだろう」という心を育てます。それが後の科学的思考に役立ちます。算数は毎日5分間、遊び的なゲームで算数的な活動を行う時間をつくりました。楽しみながら理数の素地を形成します。
明星学苑には「世界に貢献する人を育てる」という建学の精神があり、小学校でも創立以来、英語教育を行ってきた歴史を持っています。この方針を一層推進しています。1年生2時間から始まり、6年生3時間のカリキュラムを実施して、1・2年生は楽しく、学年が上がるにつれて、子ども自身の知的好奇心で学習を推し進めるように指導しています。その結果、6年生の82%が英検に合格し、毎年数人の2級取得者がいます。
AA授業でみんなが算数好きに
どの教員も授業力向上をめざして研究会に参加したり、学習指導について熱心に研究等を行っています。私は、その成果を校内にとどめず、外にも呼びかけていくことによって、教員みんながもっと向上すると考えました。
手始めに、公開の算数の授業研究会を開催し、指導技術の情報公開を図りました。ホームページでも告知して、地域の先生方や他校の算数専科の先生方に参加を呼びかけました。授業研究会は、算数の研究授業を1クラスで行った後に、指導法についての討論の場を持ち、算数指導について考えるという内容です。提案があったり疑問が出たりと活発な討論が行われました。
さらに、明星小学校算数部で、『算数力を楽しく鍛えるAA授業』(東洋館出版社2017 年刊)を出版しました。これは、明星小学校の算数の先生たちの教育実践の記録です。
AA授業とは、ArithmeticActivity のAをつないだオリジナルの言葉ですが、意味するところは「算数的な活動を取り入れた授業」です。具体的には数量や図形に対する感度を高めるゲームやパズル感覚の活動を取り入れた授業で、毎日5分間のゲームはまさにアクティビティです。
AA授業は明星ならではの取り組みであり、こうすることで子どもたちの力が伸びたという具体例が詰まっています。日本中の子どもを算数好きにすることにつながる、すぐれた取り組みを実践している明星の先生たちに、教育界をリードしてほしいと願っています。
AA授業のような展開は、算数に限らず、子どもたちを楽しく学びの場へ導く方法の一つです。算数に続いて、体育科の教員たちが発案して、体育の公開授業研究会も開催しています。今後の明星小学校からの発信に注目していただきたいと思います。
私は、公立校で15年、国立校で23年、うち5年間は管理職でしたがずっと算数の教員として働いていました。3年前から明星学苑の教育支援室長に呼んでいただきました。併せて明星大学でも教育学部で教鞭を取っており、小・中・高の連携強化に努めてきました。
算数の教員としては、日本中の子どもを算数好きにすることをライフワークにしています。
算数は学力差がつきやすいので、一度わからなくなると算数嫌いになってしまいがちです。例えば、掛け算の九九で6×7の答が48になる子どもがいました。私はその子に毎朝、おはようのあいさつと一諸に「六七」と声を掛けました。子どもは「四十二」と答える。これをしばらく繰り返しました。実は九九でつまづくのは六七、六八、六九が多いのです。言いにくいからなのですが、それだけのことで子どもは、自分は掛け算は苦手だと思ってしまう。こうしたつまづきを取り除くのも、教員の大切な仕事です。
幼稚園から高校までの一貫教育
「感動の数だけ子どもは育ちます」という言葉ほど、小学生に必要なものはありません。想定外の出来事に出会う場が生まれることを大切にしています。1年生から毎年課題に挑戦して体験を積み重ねる、明星小学校独自の「くぬぎの時間(総合的な学習の時間)」や宿泊行事は、発見や感動をたくさん提供してくれます。教員のちょっとしたことば掛けが、子どもの好奇心に働きかけて、知りたいと思う気持ちを引き出し、子どもはアクティブになるものです。知的好奇心というセンサーを、ご家庭でも働かせてあげてほしいとお願いしています。
明星学苑では、小学校の教員が週1回は幼稚園で指導する時間があります。理科、算数、図工、音楽、英語など、小学校に入ったらもっとおもしろいことがあると、ちょっと先回りして期待してほしいからです。小学校には、中学校から理科、数学、英語の先生がやってきます。上級生の世界を見せて、あこがれをもって学習意欲が高まる工夫です。
前校長の味形 修先生も私も明星大学教育学部の教壇に立っていることもあって、大学生たちがひんぱんに小学校や中学校・高等学校にボランティアやインターンに来てくれることも、よい刺激です。
教科を好きになることが学習意欲には不可欠です。それを子どもに求めるのではなく、教員の授業力で、子どもから引き出さねばなりません。明星小学校には幅広い先生方がそろい、ベテランから若い先生方まで親密な交流が行われる環境で、授業力を高め合っています。学校全体の活動と全教員のチーム力で、子どもたちに働きかける機会をつくっていくのが、校長となった私の務めだと思っています。
設立年 | 1950年 |
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学制 | 共学(男女比1:1) |
系列校 | 明星大学、高等学校、中学校、幼稚園 |
児童数 | 1学年70~115名(23~38名×3クラス) |
教員数 | 40名 |
授業日 | 週5日制 |
学期 | 2020年度より2学期制 |
昼食 | お弁当、事前申込制 昼食注文システムあり |
初年度費用 | 896,000円(2020年度) |
進路 | 系列校進学60~70% |
学校説明会、体験パーク、 | 日時については明星小学校ホームページでお知らせします |
※上記は2020年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2020年春号」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。