日本女子大学附属豊明小学校

 教育の理念  
「信念徹底(一生懸命がんばる子)」「自発創生(自ら進んで行動する子)」「共同奉仕(みんなと力を合わせ協力する子)」

〒112-8681 東京都文京区目白台1丁目16-7
TEL:03-5981-3800
https://www.jwu.ac.jp/elm/
最寄駅● 目白駅(JR山手線)より徒歩15分、スクールバス5分

教室は間違える場所
安心できる校内に、自分の居場所と
友人や先生との信頼関係を築く

校舎南斜面の教材園「がけ下」は、貴重な自然観察の場

自然と工夫がつまった校舎

 かつて風光明媚な遊山の地として、多くの武家屋敷を抱えた文京区目白台。目白通りを挟んで日本女子大学の向かい側に位置するのが日本女子大学附属豊明小学校だ。

 1997年に竣工した第一校舎は、戦後の日本建築史を代表する建築家である内井昭蔵氏が設計。その洗練されたデザインから、これまで何度も美術展や建築雑誌に取り上げられている。曲線に包まれた斬新なフォルムが目を引くが、そのデザインには試行錯誤したアイデアがふんだんに採用されている。たとえば、クラス全員分の作品が掲示できる広い廊下や円形のホール、ワークスペースにつながる開放的な教室などのデザインは、「子どもたちのために」という当時の教員たちの思いがつまっている。

 1年を通して水泳の授業が実施可能な室内・温水のプールがあるのも特徴のひとつ。プールの床が上下に可動し、学年や授業内容に応じて深さ10㎝〜150㎝まで調整できるようになっている。また、校舎の南斜面には、300種類あまりの植物があふれる教材園があり、「がけ下」の愛称で親しまれている。「がけ下」は、教員たちによって荒れ地だった土地を開墾し、手を入れ育まれてきた。この場所は、子どもたちが樹木をスケッチしたり、理科の実験場として気づきを得たりする大切な場所となっている。

人を育てる一貫教育

 創立者である成瀬仁蔵は、女子の生涯にわたる教育の意義と重要性を訴え、1901年、日本初の女子大「日本女子大学」を創立。その5年後には教育学部と幼稚園・小学校を創立した。教育理念として、成瀬の遺した三綱領「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」が受け継がれており、小学校ではそれを「一生懸命がんばる子」「自ら進んで行動する子」「みんなと力を合わせ協力する子」と言い換え、日々指導・実践されている。この理念をもつ一貫教育により、人間としてもっとも大事な成長期を受験のみに費やすことなく、人が精神的に豊かに生きていくということ、女性が自立して生きていくということをじっくりと考える環境が整えられている。

宮城和彦校長

成績通知表がない理由とは

 「本校には成績通知表がありません」と宮城和彦校長は言う。その代わりに伸びた点や今後の課題などが具体的に、学期末の保護者面談で直接伝えられる。その理由について宮城校長は、「一人ひとりに光る個性、すばらしい才能があるので、それを伸ばしていきたいという思いがあります。そのため、他人と比較したり、点数をつけたりする必要がないのです」と語る。また同様の理念から、校内の展示スペースには、図画工作の授業などで作った作品を選ぶことなくすべて展示。このことからも、子どもたち一人ひとりの個性を尊重する姿勢が伝わってくる。

印象・構成・発表ですすむ学び

 創立当初から、実物に触れた印象から意欲的に学習する「実物教育」、得た知識を自分のものとして構成する「自学自動」、そして自分の感じたことや考えを発表することを重視した教育が実践されている。

 「実物教育」としては、四季折々に変化する樹木やさまざまな生き物が観察できる「がけ下教材園」が、うってつけの場所となっている。また「自学自動」としては、学校生活や行事を通しての異学年との交流がひと役買っている。この交流を通じて思いやりの心やコミュニケーション力が養われるほか、先輩との縦の関係も構築され、「あこがれのお姉さん」の姿へ近づこうと学ぶ意欲が高まっていく。

 日々の授業や課外活動では自らの思いを物怖じせず積極的に発言する子が多いのも特徴だ。その背景には、「教室は間違う場所」で、評価を気にせず安心できる環境がある。子どもたちはさまざまな経験から「自分の得意」を見つけ、互いのよさを認め合い、安心して自分を出せるようになっていく。だからこそ「居場所がある」と感じられ、伸び伸びと学ぶことができるのだ。

国語の授業では各児童が堂々と自分の考えを発表

算数の授業ではロイロノートを使って授業を展開

全員を巻き込む多様な授業の形

 各授業では、国語帳、理科帳、社会科帳など、それぞれの授業で使いやすいようにカスタマイズされた学校特製のノートが使用されている。

 授業を見ると、クラス全員の児童が参加し、考え、積極的に発表する姿が際立つ。たとえば、読書を題材にした5年生の国語では、「人はどうして本を読むのか」という問いに対して児童が次々と挙手。そして「単に楽しいだけでなく、想像を豊かにしてくれる」「現実とは違う世界を体験できる」「リラックスさせたり、心を落ち着かせたり、効果はいろいろある」など、自身の考えを堂々と述べていく。

 6年生の算数では、ロイロノートを活用し、拡大図と縮図を描く授業を展開。各自がもつiPadと教室の電子黒板が連動し、図形を目で確認しながら授業が進んでいくため理解が深まる。 3年生の社会科では「農家のくらし」と題し練馬区のキャベツ農家の事例を取り上げ、東京の農地を地図で確認しながら、都心で農家が減ってきている現状、その理由などを考察。自分たちの食を支えている農家の大切さ、農家のなり手がいなくなったらどうなるのかを考えることで、子どもたちの気づきを促す。 

 1年生の英語では、アルファベットの文字に触れることを目的とした授業が行われていた。教員が、美しい発音でたくさんの英語を聴かせると、これに触発された児童がお手本の発音を次々と復唱。Cのつくものは何かありますかという英語の問いに対し、子どもたちがクッキー、ケーキなど楽しげに答える姿が印象的だった。英語科の星礼子教諭は「まずは英語をたくさん聴かせ、思わず口に出したくなるような場面設定を心がけています。低学年のうちに発音にも慣れてほしいので、アルファベットの呼び名と持っている音(phonics)の違いにも触れています。文法はあえて説明せず、児童の気づきを促す提示をし、英語のルールを自ら構築してもらうことで中学英語へとつなげます」と授業の目的を話す。

 このほかにも、グループ活動や児童主導の授業など、さまざまな授業形態が取り入れられている。これらの授業を展開できるのは、日々の積み重ねにより「話をしっかり聞く」ことができ、他を思いやりながらお互いを尊重し合える信頼関係ができているからこそだ。

 緑豊かな環境の中、充実した設備を備えた美しい校舎で、一人ひとりの個性を大切にする教育を展開する豊明小学校。宮城校長は、「まずはオープンスクールなどで学校に来て頂き、110年以上にわたり教師と子どもたちが愛着をもって紡いできた、校舎や環境の良さを、五感で感じてほしい」と話す。

School Data
創立年 1906年
学制 女子校
系列校 日本女子大学附属豊明幼稚園、日本女子大学附属中学校・日本女子大学附属高等学校、日本女子大学
児童数 1学年38名3クラス
学期 3学期制
昼食 あり(週3回。週2回はお弁当持参)
初年度費用 1,249,600円
進路 約95%が附属中学校へ進学
学校説明会 5月11日(土)※要ウェブサイトからの事前申し込み
オープンスクール 5月25日(土)、7月20日(土)、2025年1月18日(土) ※要ウェブサイトからの事前申し込み

※上記は2024年5月時点(冊子「スクールダイヤモンド2024」)での情報です。
最新情報は各校のホームページ等でご確認ください。
https://www.jwu.ac.jp/elm/

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